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無垢の領域

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  • サイズ B6判/ページ数 280p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103277231
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

悪意などないのに――兄の、書道家とその妻の日常を「無垢な女」が歪ませる。心の中の隠しておきたい部分を抉り出す本年度最注目作。

知らないままでいられたら、気づかないままだったら、どんなに幸福だっただろう――革命児と称される若手図書館長、中途半端な才能に苦悩しながらも半身が不自由な母と同居する書道家と養護教諭の妻。悪意も邪気もない「子どものような」純香がこの街に来た瞬間から、大人たちが心の奥に隠していた「嫉妬」の芽が顔をのぞかせる――。いま最も注目される著者が満を持して放つ、繊細で強烈な本格長篇。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

274
大人であるが無垢で純粋な純香。純香の完全な純粋さが、秋津母子、純香の兄である信輝の狡猾さをあぶり出す。秋津龍生は書道家として身を立てる事が出来ず、妻の伶子の収入に頼りながら書道教室を開き、書道家であった母の介護をしていた。図書館長の林原信輝は天賦の書道の才を持つ妹の純香を引き取る。純香は判断力に欠け、信輝の日常は疲弊する。刹那、近付く信輝と伶子。龍生の母の真の様子、ようやく世に認められた龍生の作品の秘密。龍生の作品の秘密に気付いた信輝の復讐。後半にたたみかける様な圧倒感があります。実に読ませる名作です。2017/06/17

れみ

199
道東の町を舞台に、書道家の秋津とその妻で養護教諭の怜子、民営化を目指す市立図書館の館長である林原とその妹の純香が出会ったことから始まる物語。純香の純粋すぎるところや類稀なる才能に対し、凄いねえとか好きだなあとか思いつつも嫉妬や疎ましさをも合わせて感じる周りの人々の感情。そしてあまりにもあっけなく訪れる死。堪らないなあ。読んでて明るい気持ちになる部分はあまりなくてむしろどんよりするのに読むのをやめられない。終盤、授賞式での秋津と林原の会話。秋津…なんということを。2016/11/05

おしゃべりメガネ

184
桜木さんワールドをこれ以上ないくらい堪能できる作品です。好き嫌いは別として、やはりこれだけの世界観を打ち出せる作家さんは、そう多くはないと思います。ネタバレではないと思いますが、相変わらず‘救い’のない展開で、とにかく陰鬱なキャラ達がいつものように登場します。人物描写ももちろんですが、今作も他作品同様、釧路の情景描写が圧巻です。釧路に長く住んでいる自分には、そのスゴさ&素晴らしさがヒリヒリと刻み込まれてきます。クライマックスに向けてはどうなるのかなぁと思っていましたが、案の定‘救い’はありませんでした。2014/05/25

みんと

166
大人はしれっと上手に嘘をつくものなのだな。 男女の機微や家族の繋がりだってコントロールしながら継続できなくてはいけないのだ。 純粋だった純香もあんなことになり気持ち的に救われない。 義母の気持ちも計り知れず、もう辛くなってしまった。2017/04/30

えむ

137
書道家秋津龍生は純香(林原信輝の妹)の才能に脅かされる。伶子(秋津の妻)と林原はお互いに惹かれながらも理性で保っていたが、二人きりになってしまうと男と女。桜木紫乃初読。男と女がどう絡み合っていくのか展開が気になって面白く、読み応えのある作品でした。4362013/11/25

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