内容説明
強打をうたわれた元東洋ミドル級チャンピオンが四年ぶりに再起する―栄光を夢見るボクサー、手を貸す老トレーナー、見守る若きカメラマン、プロモーターとして関わる“私”。偶然に出会った男たちが、いくつもの亀裂を乗り越えて“一瞬の夏”を疾走する。第一回新田次郎賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ただぞぅ
10
ボクサーに必要なのは腕力ではなく足やバネ、眼のよさ。そんな素質を天才的に兼ね備えたカシアス内藤はデビュー後、連勝を飾り瞬く間に東洋ミドル級王者に輝く。だが元来の練習嫌いと気の優しさが致命的となりある一戦を機に転落していく。このまま終わるのか?そんな燻る思いは本人だけではなかった。沢木さんを始めジムの仲間達が葛藤をバネに換え4年半のブランクから再び栄光を目指していくノンフィクション。友として一人のボクサーのために身銭に切り、門外漢であるマッチメイクまで果たした沢木さんの行動力と情熱に心が揺さぶられる。2024/10/10
たらちゃん
10
目を背けたくなる。ボクシングは命がけのスポーツ…スポーツと言って良いのか分からない位命がけの闘い。戦争でもないのに相手を殺さないと生き残れない。そう思わせる沢木さんの文に力があるのかもしれない。他の話なら大丈夫かな。ボクシングはもう読めません。2016/08/16
そうたそ
7
★★★☆☆ ボクサー・カシアス内藤の再起を追った著者の代表作の一つとも言える一作。いつもながらドライでクールな文体ながら、一気に読まされてしまう。ボクシングにはそれほど興味はないが、カシアス内藤という一人の男に惹かれ、大部な作品ながら面白く読んだ。多少中だるみを感じる部分もあったが、この作品が著者の後の小説「春に散る」に繋がったのかな、と思いながら読むと感慨深い。2025/09/19
マックス
4
★★★☆☆元東洋ミドル級のカシアス内藤が4年のブランクを経てカムバックするまでをシリアスに描いたノンフィクションです。ジムの移籍、ファイトマネー、マッチメイクなどプロボクサーにとって意外に知られていない現実も書かれており決してボクシングが華やかなものではないと知らされます。プロボクサーとして食べていけるのはほんの一握りの選手だけであってほとんどは仕事をしながら両立しています。何度も苦境に立たされても一人のボクサーを追い掛ける作者の想いが作品から滲み出ています。2017/01/22
中川 勇也
2
★★★★☆ 一瞬で決着のつくボクシング競技の無地火さが印象に残った。ひたすら足掻いて、人として弱いところを持ったまま戦い続けた内藤が哀れであり、でも人間って誰しもこのように少なからず無様に生きていくものなのかもしれない2021/07/15




