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父―その死

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  • サイズ B6判/ページ数 224p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103077077
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

内容説明

看取りとは、かくも厳しく、おごそかなもの―昭和二十二年夏、幸田露伴逝く。その臨終、葬儀の刻々を真正面から見つめ、記録した名著。父と娘の日常を伝える「こんなこと」を併録。

目次

父―その死(菅野の記;葬送の記)
こんなこと(あとみよそわか;このよがくもん;ずぼんぼ;著物;正月記;〓(そつ)啄
おもいで二ツ)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

relaxopenenjoy

5
幸田文が父露伴を看取る「父、その死」、掃除から畑仕事まで、家事全般、父からの手ほどきについて綴る「あとみよそわか」(噂の雑巾掛けが出てきた!)、美しい文章で性について綴る「啐啄」など。「正月記」は既読。国宝級の大作家である一方、早くに生母が死別の後、一家の主人として厳しくも愛情深く育ててくれた一人の実のお父さん、その間の戸惑いや葛藤、また想い出をデビュー作とは思えないこのような美しい文章で。2022/10/28

どんぐり

4
火葬場から露伴の遺骨を抱いて戻る幸田文の文章である。こんな美しい日本語があることにまずもって驚嘆する。「膝に載せた父は柔かい温かさであった。顔を寄せて見ると、白麻の風呂敷の結び目さえもほの温かった。車を下りては烈日が黒い著物の肩に噛みついて来、寝不足と疲労に弛緩しきった皮膚は、処嫌わず汗を噴き出し、風にぞっと冷たかった。「文子さん」と小林さんの足音が追って来、「気がつかないことをした。あなたは疲れている、僕がかわりましょう」と云っている。素直に父を渡した。」(「葬送の記」より) 2011/07/20

どんぐり

4
火葬場から露伴の遺骨を抱いて戻る幸田文の文章である。こんな美しい日本語があることにまずもって驚嘆する。「膝に載せた父は柔かい温かさであった。顔を寄せて見ると、白麻の風呂敷の結び目さえもほの温かった。車を下りては烈日が黒い著物の肩に噛みついて来、寝不足と疲労に弛緩しきった皮膚は、処嫌わず汗を噴き出し、風にぞっと冷たかった。「文子さん」と小林さんの足音が追って来、「気がつかないことをした。あなたは疲れている、僕がかわりましょう」と云っている。素直に父を渡した。」(「葬送の記」より)2011/07/20

こはる

2
幸田文さんを世に知らしめた作品。

yuka

2
親を看取る幸田文の苦しさ、切なさ、怒り、やるせなさが、現在祖父母の看病をしている母の姿と重なりました。一般に男性より女性のほうが人の感情に敏感であるといわれていますが、それ故に気配りがききすぎて疲れてしまうんでしょうね。「一時間の空なそれは何日の私の実努力より、病人に新鮮であった。」のくだりに記される文のやるせなさに心苦しくなりました。2015/01/09

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