出版社内容情報
幕末のヒーローは薩長土肥、新選組だけではない! 奥羽越列藩同盟を導いた、若き仙台藩士の死闘を描く、著者新境地となる時代小説!
内容説明
幕末、仙台藩は鳥羽伏見の戦いにより朝敵となった会津藩への出兵を迫られていた。大義を取るか、それとも我が身を取るか―。苦渋の選択を強いられるなか、浅葱色の陣羽織をまといし一人の若侍が立ち上がる!実在した仙台藩士・若生文十郎景祐ら、奥羽越列藩同盟を導いた誇り高き東北人達の暗闇と、あなたの知らない、もうひとつの戊辰戦争を描破する、著者新境地の感動巨編!
著者等紹介
熊谷達也[クマガイタツヤ]
1958年宮城県仙台市生まれ。東京電機大学理工学部数理学科卒業。97年『ウエンカムイの爪』で第一〇回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年『漂泊の牙』で第一九回新田次郎文学賞、04年『邂逅の森』で第一七回山本周五郎賞、第一三一回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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就寝30分前
34
主人公の影が薄い。幕末の大きなうねりの中で史実をもとに下級?武士の生涯を描くとこうなってしまうのは仕方がないのかもしれない。それにしても主人公若生文十郎景祐が、壬生義士伝の吉村貫一郎と被ってしかたがなかった。共に不器用に義を貫く武士だからだろう。幕末の東北、仙台にこのような歴史があったとは知りませんでした。仙台藩以外はかなりへなちょこに描かれていますが、そこは作者の地元愛ということで。。。2020/02/06
aloha0307
27
熊谷さん 初の本格的時代・歴史小説 戊辰戦争を仙台藩から描いた。奥羽越列藩同盟...新政府軍による会津藩征伐を阻止するための戦いが、いつしか仙台藩自身の防衛戦になっていく。同盟はやがて脆くも崩壊、藩内部でのゴタゴタはいつの時代も”組織”とはこうなっていくのだね。そのなかで、景祐の清々しさといったら...善悪と欲・我妄が交差するいくさの果てに天高く立ちのぼってゆきます✿2020/03/20
Ayako
27
幕末ものは好きで色々と読んでいるが、仙台藩を中心に描いた作品は初めてで新鮮だった。若き藩士・若生文十郎景祐が、時代の流れに翻弄されながらも義を貫く様は、胸が熱くなる。政局を丁寧に描いた作品なので、知識がなくても読み進められたが、逆に奥羽越列藩同盟について詳しく調べてみたくなった。2020/03/01
ちゃま坊
24
戊辰戦争の仙台藩。朝廷から会津討伐の錦旗が届いた。官軍の言うことが本当に正義なのか、奥羽の諸藩は悩む。景祐は江戸の無血開城のようにやりたかったのだろう。しかしやって来た官軍の参謀「世良修蔵」が極悪だった。多くの恨みを買い「斬殺」されたのは天誅と言える。会津に次ぐ朝敵とされ、降伏か徹底抗戦かで割れる仙台藩の騒動。2020/09/29
さんつきくん
21
戊辰戦争モノで描かれるのは新幕府側から見たものや、会津藩目線で書かれたモノはよく見受けられるが、仙台藩側目線の作品は少ない。宮城・東北を書き続けた熊谷達也先生が仙台藩から見る戊辰戦争を描いた。読まない訳にはいかないでしょう!ドンパチの描写より政の描写が色濃く描かれている印象。仙台藩がどのようにして戦争に巻き込まれるか、どのような戦歴をたどったのか、当時の藩主・伊達慶邦や奉行の但木土佐、主人公の若生文十郎の視点で紡がれる、歴史小説。若生文十郎より鴉組の方が派手な印象を受ける。2019/12/23