内容説明
もはや家族とさえ呼べる強い絆で結ばれた、4人と1匹の旅の仲間たち。やっとの思いで再会を果たした彼らは、一夜、杯を酌み交わす。何かを予感するかのように―。“暗黒の塔”破壊の中心基地を、異能者たちの協力のもと襲撃する試みは成功するのか。明かされる薔薇の未来とは。そして、訪れた予感の正体とは…。悲嘆さえ押し潰して進む、苛烈すぎる旅の終曲、胸に迫る凄絶な別れの歌。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
120
いよいよこれと後1冊で終わりということで作者もかなり物語を終わらせようということを意識しているようです。ただ読んでいるとキングのほかの作品に出てくる人物がここにも登場してくるということで、キングワールドいといった方がいいのかもしれません。最後までいけない仲間がいたりして思い入れたっぷりの人は残念でしょうが、それで決着を迎えるということなのでしょう。2016/07/27
Tetchy
92
最終刊では何か吹っ切れたかのように歴代のキング作品に纏わるエピソードがこれまでにも増して出てくる。キャラハン神父が登場する『呪われた町』以外にも『デッド・ゾーン』の登場人物グレグ・スティルソンの名が唐突に現れたかと思えば、いきなり〈破壊者〉の1人ディンキーは自分の境遇をキャリーに例える。また前作から登場の『アトランティスのこころ』の〈破壊者〉テッド・ブローティガンも今回はローランドの良き協力者となって『アトランティス~』の不在時を埋めるように大活躍する。また『不眠症』のエド・ディープノウにも言及される。2024/02/26
ぐうぐう
37
キングが『ダーク・タワー』を本気で完結させようと思い立った出来事は、1999年の交通事故にある。その事実をキングは大胆にも、そして真っ正直にも『ダーク・タワー』の作中に盛り込んでいく。「そうだ。だから、こうしてここにいる。だから、来なくてはならなかった。おれの友人の一人が死んだ、もう一人も死ぬかもしれない。〈テット〉は壊れた。すべて一人の怠け者で臆病者の男が、〈カ〉がさせようと思っていた仕事をしなかったために」主要キャラがキングにそう問い詰める。だが、キングはもう怠け者でも臆病者でもない。(つづく)2021/07/12
あっちゃん
25
映画化らしいけど、どうやら一部分を取り出してソコだけやるらしい…そりゃ、長い話を全部は出来ないだろうけど別物になりそうな予感(笑)さて、本編ではショックのあまり( ゚д゚)ポカーンと!泣いても笑ってもあと一冊!2017/02/26
Sakie
16
間もなく虐殺されると知りながら膨大なキャラを覚えるのは面倒、とばかり気を抜いていたら、カ・テットの輪があっけなく欠けた。愛着のあるキャラの死。私が悲しいのではない、残された者の悲嘆を思って涙が止まらないのだ。キングは意識的にカ・テットの最後を俯瞰して描いた。作家は神ではなく預言者だから、この死は自分が望んだのではないとうそぶくのだ。しかしキングの存在が物語に挿入されたことで、ローランドはキングを存分に憎み蔑むことができる。殺すかと思った。『ぼくたちは<暗黒の塔>を救うんだ』。それほどの塔ってなんだよ。2018/01/04