新潮文庫<br> 二都物語 〈下巻〉 (改版)

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新潮文庫
二都物語 〈下巻〉 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 357p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102030042
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

341
下巻は冒頭こそ若い二人の結婚に幕を開けるが、そこからは一転して疾風怒濤の様相を呈してゆく。物語の大枠を構成するのは、民衆たちによるバスティーユ襲撃に端を発したフランス革命である。そして、登場人物たちのすべては、この革命の奔流に巻き込まれてゆく。貴族階級への民衆の怒りと無秩序の表現は、まさに小説的であり、ディケンズが本領を発揮するくだりだろう。ただ、そこに展開するエピソード群は、何もかもを詰め込み過ぎた感も否めない。もっとも、肯定的に見れば、彼らの全てはまさに革命の坩堝の中にいたことの形象とも言えるのだが。2016/03/31

遥かなる想い

236
下巻はフランス革命の混乱の中から始まる。 ダーネイ・カートン・ルーシーの運命が フランス革命の嵐の中で 大きく揺れ動く様を 丹念に描く..革命の混乱下、群衆の狂気が 時代の雰囲気とともに上手く伝わってくる.. いつの時代も 混乱下の恐怖は存在することを 実感する終り方だった。2017/02/24

ヴェルナーの日記

83
下巻は、上巻に比べ、物語の進行スピードが、ことほか速い。チャールズを救出するためマネット家族がフランスへ渡るのだが、その頃のパリは、フランス革命直後にあって、混乱のきわみだった。それにしてもマダム・ドファルジュの執念というか、妄執と呼ぶべきか、その怨念に満ち満ちたすさまじい怨念に寒気が走った。物語の収拾が今一つなのは、ディケンズの欠点なので、目をつぶるとして、なぜドクトル・マネットが、バスティーユ監獄に投獄され、その後古びた借家の一室で靴作りに没頭していたのかが、謎のままというのは悩ましいです。2015/06/07

chimako

78
これは革命という狂気(凶器•狂喜)の中で愛を貫いた男のものがだったのか……かつて恋敵だった男同士の友情の話だったのか……積もり積もった恨みを晴らすため虎視眈々とその機会を狙っていた女の執念の物語なのか……ギロチンの下に晒された罪深い貴族と罪無き貧しい人々。罪人のみの断罪に止まらない十把一絡げの凶行。狂った時の中では誰もが血に飢えた悪魔として化してしまう恐ろしさ。首が飛ぶのを見ることが娯楽になる革命の行く先はどこなのだろう。心ならずもパリを逃れることになったダーニーはロンドンで果たして幸せであろうか。2015/09/24

Willie the Wildcat

53
因果応報も、善悪の定義次第であり、視点次第。心の響き、叫びに耳を傾ける。ルーシーが開いたドクトル、ダーニー、そしてカートンの心。献身であり犠牲。理性ではなく感性。但し、印象深いのがドファルジュ夫妻。混沌の中でのそれぞれの心の葛藤。単なる物事の善悪ではなく、不変の価値観を問う苦悩。一方、刑執行に際して、カートンと彼に寄り添う女性の2人に、心の平静が感じられるのが救い。他者を想う純粋な心は、何事にも勝ると感じさせてくれる。2015/05/10

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