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新潮文庫
銀天公社の偽月

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  • サイズ 文庫判/ページ数 195p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101448336
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

脂まじりの雨が降る街を、巨大でいびつな銀色の月が照らしだす。銀天公社の作業員が、この人工の月を浮かべるために、月に添って動くゴンドラで働いている。そこは知り玉が常に監視し、古式怪獣滑騙が咆哮する世界だ。過去なのか、未来なのか、それとも違う宇宙なのか?あなたかもしれない誰かの日常を、妖しい言葉で語る不思議な7編。シーナ的言語炸裂の朧夜脂雨的戦闘世界。

著者等紹介

椎名誠[シイナマコト]
1944(昭和19)年、東京生れ。東京写真大学中退。流通業界誌編集長を経て、作家、エッセイスト。「本の雑誌」編集長。『さらば国分寺書店のオババ』でデビューその後『アド・バード』(日本SF大賞)、『犬の系譜』(吉川英治文学新人賞)など著書多数。映画『白い馬』で日本映画批評家大賞最優秀監督賞も受賞したことがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ひさか

20
新潮1997年1月号滑騙の夜、6月号銀天公社の偽月、1998年1月号爪と咆哮、1999年7月号ウポの武器店、文學界1998年10月号塔のある島、2000年6月号水上歩行機、書下ろし高い木の男、を2006年9月新潮社から刊行。2009年10月新潮文庫化。上空に人工月がある休戦中の街での出来事を綴った7つの連作短編集。いずれもストレートなディストピア小説。化学戦があった後の汚染された世界。生体兵器なんかも登場し、もの悲しさ漂う様子が興味深い。ただし気は滅入る話です。2021/07/31

眠る山猫屋

11
何でこんなに汚ならしくて生き難い世界が気になるのだろう。けっこう探しちゃいましたよ、シーナさん。シーナさんの描く未来は、まさにディストピアでしかないのだけれど、そこで生き残る為の闘いを続けている人々がいとおしいのだろうな。きっと今、ギリギリの渕で一生懸命生きていないから、その静かな熱さに惹かれてしまうのかな。2015/04/11

シャル

11
泥のような油と脂に覆われた世界の、泥臭くもありえそうな人々の暮らしの断片。様々な造語によって描かれる独特のガジェットや世界の背景を下地にしながらも、この本で最も焦点が当てられるのは、まさに人々の生きる姿そのものだ。全てが現実と乖離した世界でありながらまるでそれが存在する世界のように感じられるのは、あらゆる文章から世界の臭いと共に、そこで生活する人々の息遣いが聞こえてくるからに他ならない。彼らは食べ、眠り、感情を持ち、漠然と明日を見る。こんな汚い世界にあって、表題の『銀天公社の偽月』の響きは美しすぎる。2013/10/12

スカイバニラ

11
初めて読む椎名誠本。文庫裏の内容紹介には「シーナ的言語炸裂の朧夜脂雨的戦闘世界」とありますが、イメージ的にはこの通りかと。 全天候型内弧軌道回転発光装置やら多肢型(四本足)水上歩行機といったガジェットなどが登場するだけでなく、かつての戦争で武器のひとつだったといわれる生殖器官のない若い娘の姿をしたミュータントなどが存在するこの世界。明るいとも暗いとも言い難い不可思議な世界にして、狂暴とも逞しいとも表現できるかもしれない住民たちの物語集。なるほどこれがシーナ・ワールドか。2011/06/05

佐々陽太朗(K.Tsubota)

11
この本の評価なのですが、微妙・・・です。ただ一つ言えるのは「この小説は他国語に翻訳できない」ということ。何とかなりそうなのは漢字という表意文字を持つ中国語のみ。他の言語への翻訳は不可能だろう。小説が読者に何かを伝えるものだとするならば、翻訳不能ということは小説であるための必要条件を満たしていないのではと疑問を禁じ得ない。この小説は例えるならば「抽象画」のような小説で、良いと思えば良いのだが、感性が合わなければ最悪という評価になる。理解するより感ずる小説なのだ。2009/12/16

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