内容説明
太公望以来の斉の悲願、東方の国、莱の併呑。その重責を一身に負った将軍晏弱は僅か五千の兵でそれを成し遂げると宣言した。迎え撃つ莱の智将王湫は一万の精兵を束ね、虎視眈々と斉軍の到来を待ち受ける。圧政に苦しむ敵国の民。彼らの命を何よりも尊ぶ人倫の人、晏弱のとった戦略は凡百の策士には及びもつかぬ大胆なものだった。策略と計略が水面下で激しく交錯する緊迫の第二巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
111
登場人物も徐々に増えてきて、物語の厚みが増してきたのと、一人ひとりのキャラクターも分かってきて、益々面白くなってきた。と思ったら、第二巻のラストで、思いもよらなかったまさかの展開へ!後半はいったいどうなっちゃうんだろう…。第三巻へ!2020/05/30
KAZOO
60
晏嬰が登場してきます。晏子の若かりし頃ですがその頃から主君に問われても適切な回答をします。父親が計略を持って数少ない将兵で敵国を破るのですから親子ともどもに才能があったのでしょう。このような部下を抱えている君主は楽ですが登用する才能もあったのでしょう。この巻で父親が死んでいよいよ晏子が独り立ちしていくのでしょう。2015/03/10
NAO
49
東方の萊を併呑する重責を一身に負った将軍晏弱。萊の智将王湫との戦いは、読みごたえがある。人命を重んじる晏弱の戦いぶり、彼の言葉の重さ。晏弱は急死してしまうが、息子晏嬰は成人し、彼の今後の動向が気になる。2022/09/13
とも
32
晏弱の萊攻めがとても小気味好い。ただひたすらに武力によって国を攻めるのではなく、内から攻略し末長い安永を狙う戦略は見事。 中盤以降は子の晏嬰も登場しその非凡なる才の一端を垣間見せ始める。 萊攻め以来比較的動乱の中立的な立場を取ってきた斉にも、来たる晋との覇権争いに向けて風が吹いてくる。 2019/12/11
姉勤
29
徳。数多ある目に見えなくとも確実にあるもの。一時の隆盛や詐術やコネクションで得た地位も、それを損なえば二代と持たない。斉国の将軍に抜擢された晏弱は、東方の小国、萊の征服を命じられる。人をなるべく殺さないという綺麗事を貫徹し、工夫を尽くした攻略戦も面白いが、同士たる蔡朝の成長譚が面白い。晏弱の子、晏嬰が成人する。武門に生まれながら体躯に優れないコンプレックスを意思の力に変えて、正道を示していく。それが徳となる頃、豊かな徳を積んだ晏弱が逝く。数代前の文公の徳が尽きた大国の晋は、盟主の座を陰らせていく。2016/05/15