新潮文庫<br> 日本原爆開発秘録

電子版価格
¥715
  • 電書あり
  • ポイントキャンペーン

新潮文庫
日本原爆開発秘録

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 341p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101333731
  • NDC分類 559.7
  • Cコード C0195

出版社内容情報

膨大な資料と貴重なインタビューをもとに浮かび上がる日本の原爆製造計画――昭和史の泰斗が「極秘研究」の全貌を明らかにする!

戦時下で秘密裡に進められていた「ニ号研究」「F号研究」という日本の原爆製造計画。戦局の挽回を期し、軍部が命じて科学者の叡智を集めた研究の全貌とは……。昭和史研究の第一人者が、膨大な資料と関係者への貴重なインタビューをもとに、戦後、原発立国へと舵を切った日本の「原子力前史」を繙き、現代との因果を詳らかにする。『日本の原爆-その開発と挫折の道程』改題。

内容説明

戦時下で秘密裡に進められていた「ニ号研究」「F号研究」という日本の原爆製造計画。戦局の挽回を期し、軍部が命じて科学者の叡智を集めた研究に全貌とは…。昭和史研究の第一人者が、膨大な資料と関係者への貴重なインタビューをもとに、戦後、原発立国へと舵を切った日本の「原子力前史」を繙き、現代との因果を詳らかにする。

目次

原子爆弾製造計画の始まり
大量殺戮兵器待望の国民心理
陸軍の原爆製造計画「ニ号研究」
海軍の「F号研究」の歩みと実態
終戦前後の科学者と軍人
原子爆弾から原子力発電へ―平和利用は幻なのか

著者等紹介

保阪正康[ホサカマサヤス]
1939(昭和14)年、北海道生れ。同志社大学文学部卒業後、編集者などを経てノンフィクション作家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よこしま

35
この国が原発を止めようとしない理由。いくら“天使”の顔をしても偽善にすぎず、“悪魔”そのもの。◆陸軍は理化学研究所を、海軍は湯川秀樹らの京大を抱え、原爆を開発しようとしていました。「マッチ箱一つのウランで都市を吹き飛ばせる」。◆福島県の石川中学の生徒たちにウランを発掘させる行為が、福島第一の請負作業員の皆さんと姿が重なり、悲しい過去は伝えるべきです。◆やはり“田布施システム”が裏で動いていたこと。200頁、児玉誉士夫が海軍と接触。この機関こそ現総理の大元。解体させない限り戦争も再稼働も止められません。2015/05/17

こういち

18
科学者の功罪を考える。20世紀は科学の力が国力であり、戦力であったことを思い知る。原子力を爆弾として使用するか、発電として利用するかの問題では無く、その「魔法の杖」を手にした人類は、間違いなく一瞬に自らを滅する力を得た。それを自業自得と考えるか否かは、21世紀をデザインする今を生きる者たちの知恵と勇気に掛かっている。先ずは、我が国の戦中戦後における歪んだ政治と科学との関係を象徴する〝官製〟の研究所を、どんな事情があるにせよ早期に解体し変貌を遂げずして明るい未来はない。2015/05/04

Ikuto Nagura

6
政治と軍事の狂気の下で、情報が閉ざされ、自由が制限され、耐乏のみが求められた。私はそんなふうに戦時下の生活を想像していた。ところが、そんな軍事優先の体制の方が、学問の自由が保障された幸福な研究環境であったという証言を、保阪は当時の科学者たちから引き出してくる。そして、日本の科学者の自分の研究さえできればよいと考える独善性と、軍や政治家に隷属させられる主体性の欠如は、現代でも変わっていないと厳しく断じる。けれど、自然科学と人類の幸福の相克という命題に向き合うことを避けたのは、科学者だけではないと思うのだ…。2015/08/25

月式

5
理化学研究所の仁科芳雄が中心となり後のノーベル賞受賞者である湯川や朝永といった若き科学者らや陸海軍の技術将校達が集まり、1938年にドイツで発見されたウラン235の原子核分裂で生じるエネルギーについて軍の予算を使い研究していた「二号研究」「F号研究」についての記録とその後の政治家主導によるアメリカ隷属型「原子力平和利用」についての考察の書。結果的に仁科芳雄の煮え切らない日本的研究者意識が原爆という実を取らずに湯川・朝永らの栄誉に繋がったともいえるのかもしれない。2017/03/05

harukawani

5
日本の原爆研究「ニ号研究」と「F号研究」について、関係者へのインタビューなどをもとに書かれているとともに、そこから現代の原子力行政への繋がりについても詳らかにされている。戦時中は軍に、現代では政治に利用される科学技術の「天使」と「悪魔」二つの顔について考えさせられる。科学者や、私たちは、善用も悪用もされ得る科学技術に対して、どのような態度を取るべきなのだろう。取ることができるのだろう。仁科博士らは、立場、研究費、一種のプライドなどを守るために、不可能と分かっていた原爆研究を続けた。で、私たちは?2015/05/31

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9697493
  • ご注意事項