内容説明
幕の内弁当を食べるとき、ついついおかずとめしの配分を考え、食い進み計画を立ててはいませんか？中学生の頃から「何かでひと山当てて大儲けをする」という夢を見続けている友人が周りにいませんか？誰の身近にもいるごくフツーの人々の日常が、ちょっと視点を変えただけでニヤリと笑える小説になりました。あの名作を大胆にもパスティーシュした表題作など八編を収めた短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽち
13
現代文学読みの方には軽んじられていそうだけどその言外でもう認知すらもされていないのか？わたしは10代のときから偏愛している作家 表題作はエーコのパスティーシュでおすすめしやすいのだろうけどずっ好きでいることを考えたらこの人は人間を愛おしく思っていて酷い世界でもやっぱり人を全肯定するから好きなんだろうな原野の考古学好き 寄生獣読み返したところなのでバラバラなのだが 秀逸なコント、東京03か、サンドか、意外とバナナマンが演じてくれるとはまるかなあ2021/10/17
かしまさ
4
「モットー選定会議」のやりとり、うちの会社そのものじゃないですか。田舎の中小企業だから社長にヘコヘコはしないけどね。うちだけじゃないことに安心。いや、安心しちゃだめか。2015/09/26
narmo
3
やばい、相当面白かった。表題作「ばらばらの名前」を読むために『薔薇の名前』を読んだ甲斐がありました。（上巻だけだけど。でも、下巻も読みたくさせてくれました。）それに続く「一攫千金人生」も「配分王」も「インタビュー」も・・・。海の男へのインタビューの方言、ツボだったわ～。渋滞についての論考も、すばらしい！2018/07/26
hirayama46
2
エーコ『薔薇の名前』読んでいないけど（なにしろ長いので）、気にせず読みました。全体的にはすごいことは特に書いてないのだけれども、ちょっとしたずらし方が愉しくてくすりと笑える感じかな。なぜか野球選手になった表題作（パチョレックという名前のインパクトは甚大である）も愉快ですが、解説の香山ニ三郎言うところの山なし、落ちなしのヤオイ小説（もちろん同性愛のニュアンスは一切ありません）が好みかな。「渋滞原論」ももっとインパクトのあるオチを用意できそうなのに、ちょっととがったくらいで落としてしまうのが奥ゆかしいのかな。2012/03/23
unknown
2
収録作の中で『配分王』が一番のお気に入り。めしとおかずの配分をキッチリ考えて弁当を食べ進めるというところから始まり、休暇に対して能動的な時間と受動的な時間の配分を考え、果ては人生の時間の配分にまで考えを巡らせる男のこだわり。泉昌之『夜行』が好きならたまらない一編。しみじみとしたオチの一文が微笑ましい。人生においても、「美味しいモノ」は最後までとっておくべきか否か。2012/03/14
