出版社内容情報
夫が自動車事故で意識不明の重体。看病する妻の日常に亀裂が入り、闇が流れ出した――。驚愕の結末、深い余韻。傑作長編ミステリー。
道東・釧路で『ホテルローヤル』を営む幸田喜一郎が事故で意識不明の重体となった。年の離れた夫を看病する妻・節子の平穏な日常にも亀裂が入り、闇が溢れ出した――。愛人関係にある澤木と一緒に彼女は、家出した夫の一人娘を探し始めた。短歌仲間の家庭に潜む秘密、その娘の誘拐事件、長らく夫の愛人だった母の失踪……。次々と謎が節子を襲う。驚愕の結末を迎える傑作ミステリー。
内容説明
道東・釧路で『ホテルローヤル』を営む幸田喜一郎が交通事故で意識不明の重体となった。年の離れた夫を看病する妻・節子の平穏な日常にも亀裂が入り、闇が溢れ出す―。彼女が愛人関係にある澤木とともに、家出した夫の一人娘を探し始めると、次々と謎に直面する。短歌仲間の家庭に潜む秘密、その娘の誘拐事件、長らく夫の愛人だった母の失踪…。驚愕の結末を迎える傑作ミステリー。
著者等紹介
桜木紫乃[サクラギシノ]
1965(昭和40)年、北海道釧路市生れ。2002(平成14)年「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞。’07年同作を収録した単行本『氷平線』でデビュー。’12年に『ラブレス』で「突然愛を伝えたくなる本大賞」、’13年に同作で島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で直木賞をそれぞれ受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
324
【ドラマ鑑賞済】あらすじはわかっていたはずなのに、楽しめた。未知の北海道の景色に想いを寄せて。つくづく、男と女はドロドロのぐっちゃぐちゃ、なんでもありなんだなあ。「ホテルローヤル」訪れてみたい。2016/12/16
yoshida
256
ラブホテルの経営者の事故死。そしてその妻の自殺。その背景にある様々な人々の愛憎と謎が描かれる。かなり歳の離れた夫の愛人は妻の近親者である。そして、それを承知しながら結婚する妻。また、妻の知人とその娘が夫から受けるDV。そこから逃れる為に妻と知人がとった手段。そこに誘導する娘の存在が恐ろしくなる。何より引き込まれるのはラストのベーカリーの場面だろう。経営者の妻は自殺したのか。それとも生きているのか。呼び掛ける声は計画の崩壊を告げるものであった。読了して表紙のアトマイザーの意味合いが理解出来る。読ませる作品。2018/10/08
さてさて
241
『葦』とは日本神話にも登場する生命力のとても強い、どんな場所にも適応していく力強さを持った植物です。そんな『葦』の前に、脆さの象徴とも言える『硝子』という対照的な言葉を置く「硝子の葦」というこの作品。それは、脆さ、危うさと隣り合わせに生きる女性主人公たちの生き様をまさしく象徴する物語。ドロドロとした人の影の側面をこれでもかと炙り出す物語が、北の国の包容力に包まれて、不思議とさらっとした読後を迎えるこの作品。与えられた境遇の中でたくましく、それでいてしたたかに生きる女性たちの力強い生き様を感じた作品でした。2021/02/03
やせあずき
145
読友さんのオススメ。桜木紫乃さん2冊目。正直、手に取ったときはこんなに面白いとは思っていませんでした。桜木さんの文体はすごく自分に合っているようで、いい表現だなぁというところが多数ありました。さらに驚きの展開がいくつも用意されていて、特に終盤にグッと入り込んでしまい、危うく電車を乗り過ごしてしまうところでした。今後も追いかけたい作家さんです。2017/05/18
昂 ふたたび
140
後半から一気に緊張感が走る。道東の厳しい環境が育て上げる、強い女性の生きざまが、人間ドラマがそこにあった。過去を、大粒の雪が、すべてを白く塗りつぶし、明日のために。桜木ワールド、堪能しました。節子の、その後も気になりますが、まゆみちゃんは、もっと気になります。2015/10/06