新潮文庫
おぅねぇすてぃ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 326p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101199245
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

明治五年。函館の商社で働きながら、英語通詞を夢見る雨竜千吉。彼に心を残しつつ、家の事情で米国人に嫁いだお順。御一新のあと別々の道を歩んでいた幼馴染の男女は、築地の外国人居留地で偶然の再会を果たす。今度こそ、互いの気持ちに正直になると誓い合うが、夫は離縁に条件をつけ、運命は再びすれ違う―。文明開化の熱気覚めぬ中、激しく一途な恋模様を描く、傑作時代小説。

著者等紹介

宇江佐真理[ウエザマリ]
1949(昭和24)年、函館市生れ。函館大谷女子短期大学卒業。’95(平成7)年「幻の声」でオール讀物新人賞受賞。2000年『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、’01年『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じいじ

82
宇江佐真理の一途な激しい恋物語はいいですよ、感動しました。英語習得に夢を抱く青年・千吉の二つの恋、宇江佐さんのやさしさと心根の温かさが伝わってきます。函館での遊女小鶴との恋。女の純真無垢な気持ちといじらしさに胸がつまりました。そして、千吉から honesty(おぅねぇすてぃ):正直が真心と同じ意味だと教わります。千吉は小鶴のひと言で、忘れかけていた幼馴染みお順への思慕に火が付きます。女の勘の鋭さに感服です。再会したお順は、小鶴の存在を嗅ぎとります。千吉は白状しないことが honesty と判断。傑作です。2016/03/12

ぶんこ

53
明治初期に英語を学んでいる若者達、その一人であった千吉と、仲間達の英語を学ぶ為の悪戦苦闘ぶりと、恋物語。 主人公の千吉、その恋人お順。 二人に中々共感が出来なくてモヤモヤしました。 二人とも最も大事な事を相手に告げないのが解せない。 言葉に出して伝えないと理解は難しい。 千吉が黙って函館に赴任した事、お順が元夫との約束だからといって、事情を手紙で告げれば済む事なのでは? モヤモヤしすぎて入り込めず、私にはイマイチでした。2016/01/22

Shoko

31
明治初頭、御一新後、英語通詞を目指しながら商人として働く主人公 千吉と、彼の幼馴染で父親が通詞であったため、英語を喋ることができるようになったお順。2人はかつて想い合っていたが、お互いにそれを伝えることなく離れ離れになった。それぞれの道を歩むかに見えた2人が築地の外国人居留地で再び出会い…。明治期の時代物、めずらしいなぁと思いながら期待して読み始めたのだけれど。なんだろう、主人公の2人ともに共感できなくて、モヤモヤしてしまった…。久しぶりの宇江佐真理さんだったんだけど、江戸の時代物の方が良かったかなぁ。2021/10/14

June

30
明治へと新しく移り変わる時代が舞台で活気があって面白い。学ぶ手段すらわからなかった時代に、未知なる英語を学ぼうとする千吉の意欲。男性の方から選ばれて、男性に頼りきる人生を切り捨てるお順の逞しさ。二人のその型にはまり切らない向上心と行動力が眩しい。一方、儚く散った若い命の悲劇も描かれて重みも感じる。タイトルでもある「honesty」正直、真心という言葉は、純粋に一途に千吉を想う小鶴の透き通るような心をよく象徴していると思う。この言葉は優しさだけでなく、開拓心や勇気を千吉に与えようとしている、意味が深い。2017/02/17

シュラフ

20
宇江佐真理さん3冊目。徳川から新政府へと変わった明治時代のはじめの頃、英語通詞を目指す雨竜千吉、幕末の混乱による家の事情で米国人に嫁いだお順、二人の男と女の物語である。宇江佐真理さんが、男と女の物語を書くと、こーなるのかといった感じで読み終えた。お互いに想いを寄せていた二人であるが、二人のすれ違いぶりに心配するやらやきもきしてしまう。そして最後に二人の恋の行方は・・・明治時代のはじめということで舞台設定はかなり古いのだか、男と女の物語としてこじゃれたお話となっており、なかなか良かったです。2014/05/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/449012
  • ご注意事項