新潮文庫
アミターバ―無量光明

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  • サイズ 文庫判/ページ数 175p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101166537
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

東北の寺に嫁いだ娘のもとに身を寄せた「私」は、難治のガンを患って入院。懸命に支える娘や婿たちに感謝しながら、徐々に自分の死を受け容れる。病の進行とともに時間が溶けだし、亡き夫が若い姿で現れたりするが、終にその時を迎えた「私」が見たものは…。現役僧侶の芥川賞作家が、臨死体験記録や自身の宗教体験をもとに「死という出来事」を圧倒的な迫力で描き出す、究極の救いの物語。

著者等紹介

玄侑宗久[ゲンユウソウキュウ]
1956(昭和31)年、福島県三春町生れ。慶應義塾大学中国文学科卒。様々な仕事を経験した後、京都の天龍寺専門道場で修行。現在は臨済宗妙心寺派の福聚寺副住職。デビュー作「水の舳先」が芥川賞候補となり、2001(平成13)年、「中陰の花」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

p.ntsk

48
死に至る病の床にあって変化していく意識。人生の様々な瞬間が今起こっているかのように蘇る。過去のことなのか現在なのか時間の流れの感覚がなくなっていく。次第に曖昧になっていくこの世とあの世の境界。臨終間際の意識の変容が違和感なく感じられる。魂の実在や霊魂の不滅を信じられそうな自然な描写。取材もされ自身現役の僧侶である作者ならではの描写にリアリティを感じる。アミターバの光に包まれた旅立ちは無上の安らぎに満ちているようだ。[共読反映の為登録] 2018/07/30

金城 雅大(きんじょう まさひろ)

34
物理学の単語はこないだ観た『TENET』に通じる部分もあって面白かったが、それを臨死と結びつけるアプローチについては「そういうものかー」となんとなく流しながら読了。あまり理解はできてないけど、これはこれで一つの経験と割り切る。 2020/10/06

まーちゃん

24
「中陰の花」が生者から見た臨終~成仏なら、こちらは死にゆく者が体験するこの世からあの世への移行が描かれている。少しずつ溶けるように崩れてゆく「時間」。時制は入り乱れ、時に重なり合う。意識混濁と呼ばれる状態も、実は当人は多くのことを見聞きし、感じていたりする。時間の概念と共に生と死の境界もまたぼやけ混じり合いながら、やがてあの世の「光」を感じるようになっていく。強まる「光」に導かれるように、拡散してゆく「時間」と「個」は、やがて臨終へ、そして中陰へと繋がっていく。→2014/06/07

巨峰

22
お勧め☆玄侑さんは今最も誠実に小説を書いている人の一人だと思う。その玄侑さんが小説家としての己の全身全霊、僧侶としての己の全身全霊を込めて書いたのがこの小説だと思う。まがうことなき傑作です。不治の病に冒された「私」は、娘夫婦や義理の息子に見守られながら最後の時を過ごすが。。。。生と死という人間の最も大きな問題に誠実に真正面から取り組んだ小説です。2010/09/25

みゆき・K

17
お母はんの大阪弁が分からない。「ようけいたんですね」ようけいたんって何?「みいひんかったら信じない」???お母はんと登場人物の関係が分からない。富雄って誰?弥生って誰?哲は?半分でギブアップ。その後は斜め読み。お母はんが主人公なんだから、台詞は標準語でわかりやすく書いてほしい。2023/03/13

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