出版社内容情報
吉岡方との最終決戦。対する敵は七十余名。絶体絶命の状況で肉体は限界を迎え、遂に二刀流武蔵が開眼する! 血潮飛び散る第四巻。
蓮華王院三十三間堂。兄の仇と一門の汚名返上に奮い立つ伝七郎に対峙した武蔵は、一太刀であたりの雪を赤く染め上げた。これにより吉岡方の恨みは頂点に! 次なる舞台は、総勢七十余名の待ち受ける一乗寺下り松。圧倒的不利の状況で次々と挑みくる敵を無心に斬り続け、武蔵の肉体が限界を迎えたその時、遂に二刀流が生まれた――。
内容説明
蓮華王院三十三間堂。兄の仇と一門の汚名返上に奮い立つ伝七郎に対峙した武蔵は、一太刀であたりの雪を赤く染め上げた。これにより吉岡方の恨みは頂点に!次なる舞台は、総勢七十余名の待ち受ける一乗寺下り松。圧倒的不利の状況で次々と挑みくる敵を無心に斬り続け、武蔵の肉体が限界を迎えたその時、遂に二刀流が生まれた―。血潮飛び散る苦闘の第四巻。
著者等紹介
吉川英治[ヨシカワエイジ]
1892‐1962。神奈川県生まれ。船具工、記者などさまざまな職業を経て作家活動に入る。国民文学作家と親しまれ、1960(昭和35)年文化勲章受章。『三国志』『宮本武蔵』『新・平家物語』『私本太平記』など、その著作は200を越える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
50
4作目は清十郎の敵とばかりに、弟の伝七郎が武蔵との決闘に挑む。 そして吉岡一門70人との果し合いに臨むことに。 バガボンドとはかなり違い、お婆と又八がお通を襲おうとする場面なんかもある。 光悦や小次郎との出会いも。 70人に襲われるという悲壮感よりは、果たし状の誓いから逃げることなく立ち向かうという、エンタメ方面に偏っていることがよく分かる。2023/07/18
金吾
30
○前半のハイライトと思っている吉岡一門との戦いも一段落がつきました。武蔵の求道振りに対し、小次郎がどんどん小才子になっているように感じます。2022/12/27
たかしくん。
27
(3/4巻共で)武蔵の旅は、伊勢、伊賀、京を通り、お約束のお通や朱美、又八、沢庵先生らが、世間は狭いと言わんばかりに現れる。メインは吉岡一門との戦い。要所要所に、クールの小次郎の存在感が増してくる。小次郎は、この作品の悪役の一人なのでしょうが、どうも私にはそこまでの悪人とまでは思えない。そして、意外にもあの本阿弥光悦が登場します。私も辻邦夫の「嵯峨野明月記」で知った刀職人、ここでは、武蔵を理解する文化人として、癒し系の存在。ともあれ、吉岡清十郎/伝七郎を破り、遂に一門らの敵討ちに向かうところで次巻へ。2019/03/31
ブラックジャケット
15
武蔵の剣の修行も深みを増す。著者もただの剣豪物語にしたくはないのだろう。本阿弥光悦という剣とは対極の達人を登場させる。京には武士から流れた町人が独特の文化を支えた。刀剣の鑑定研磨が家業であるが、書や茶の湯など数寄者として偉大な足跡を残した。武蔵の人間としての幅も拡がる。すれ違いのお通とも対面することが出来たが、吉岡一門との最終決戦が迫る。清十郎、伝七郎を倒された吉岡一門は、年端もいかない甥を名目の統領として、一乗寺下り松で武蔵を待つ。鉄砲弓矢の飛び道具持参で罠を仕掛ける。すさまじい武蔵血しぶきの二刀流。 2024/03/15
しんすけ
15
宮本武蔵の名を高めた二つの決闘が描かれる。三十三間堂(蓮華王院御堂)での吉岡伝七郎と。一条寺下り松で吉岡一門と。 だが今回は、吉野太夫との出会いが一番輝いている。 本阿弥光悦の居に寄寓していた武蔵は廓に誘われる。遠慮した武蔵だが光悦の母の薦めもあり、単なる歓楽ではないと感じて誘いに乗った。その日は吉岡伝七郎から決闘の果し合いを受けた当日だった。 宴の合間に吉岡伝七郎を討ち果たした武蔵は廓に戻ってくる。他は気づかないが吉野太夫は武蔵が人を切ってきたことを知る。そして宴が終わっても武蔵を廓に止めおこうとする。2021/04/24