新潮文庫
4時のオヤツ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 218p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101149196
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

都庁の前でばったりあった父娘とクリームパン、深夜にボーイフレンドのグチを訴えつつかぶりつく稲荷寿司、人生への不安に目覚める女子高生とソフトクリーム。4時という不確かな時間で切り取られた、昭和の東京。父娘、母娘、女同士、女と男の何気ない日常の、絶妙な会話の応酬。実兄・鈴木雅也のオヤツ写真を添えた、杉浦日向子の小説世界の結実33編。荒木経惟の恋写真を添えて。

著者等紹介

杉浦日向子[スギウラヒナコ]
1958‐2005。東京生れ。文筆家。「通信室乃梅」で漫画家としてデビュー。以来、一貫して江戸風俗を題材にした作品を描き、1984(昭和59)年『合葬』で日本漫画家協会賞優秀賞、’88年『風流江戸雀』で文藝春秋漫画賞を受賞。2005(平成17)年7月、下咽頭がんのため逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ヴェネツィア

247
午前、あるいは午後4時という半端な時間に繰り広げられる33篇のショート・ストーリーズ。それぞれのお話のちょっとした添え物(けっして主役でも物語の核でもなく)になっているのが「柳屋のたい焼」をはじめとしたオヤツ。様々なシチュエーションで、様々な組合せでストーリーは展開するが、いずれもがそれぞれの人生の機微を突いていて、しかもほんのりと暖かい。時にはしんみりとする。つまり、大人の物語なのだ。それにしても、東京とその近郊から(一部例外あり)これだけ魅力的なオヤツを集めて来たものだ。老舗あり、ニューウェイヴあり。2014/10/07

とし

72
同窓会の女性3人、母娘、姉妹、老夫婦、父と娘、兄弟などなどさりげない日常の会話に、さりげなくオヤツが介入して、ほつこりしたり、しんみりしたり良いな。2014/05/12

ぶんこ

55
東京に住んでいる人々が、おやつの話をしている。まるで隣に座って一緒にいるような感じになります。ショートショートなのですが、最初に場所、人の描写があって、まるで台本を読んでいるような気分にもなりました。紹介されているオヤツに懐かしい物が多く、シベリアなんて昭和中頃のオヤツ。懐かしかったり、すぐに買いに行きたくなったりと楽しめました。2017/12/16

yumiha

46
会話のなかで表紙写真などのオヤツが紹介される。ときにはそのオヤツを食し、その感想も会話になる。主に東京の和菓子さんなど。一番驚いたのは、「仙台・賣茶翁のみち乃くせんべい」。先日読んだばかりの売茶翁の名を冠した明治12年創業の老舗。そういえば、売茶翁は若いころにみちのくの旅をしていたっけ。読メでは誰も読んでいない死語のような本だと思っていたけど、ちゃんと名前を残してくれた老舗もあるんだ、と嬉しかった。2024/03/05

kaoriction@感想は気まぐれに

36
先日読んだ『ごくらくちんみ』のオヤツ版。「四時ときたら、てんで半端。ティータイムでも食事でもない」。そんな「4時」という不確かな時間をオヤツと何気ない日常と共に切り取った短い33の短編。お話自体は『ごくらくちんみ』の方が好きかな。でも、出てくるオヤツは身近な本作品にヨダレが…。杉浦さんの実兄、鈴木雅也さんの写真がまた甘党な私の食欲をそそる。そして、この短いお話たちのありふれた会話や日常風景のあちこちにもまた、杉浦さんの優しいまなざしが散りばめられている。4時のオヤツを食べながらほっこり読むのがいい。2014/05/05

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