新潮文庫<br> 釈迦

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新潮文庫
釈迦

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  • サイズ 文庫判/ページ数 326p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101144382
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

八十歳を迎えたブッダ(釈迦)は、侍者ひとりを連れて最後の旅に出る。遺された日々、病み衰えたブッダの胸に、人々の面影や様々な思いが去来する。自分を産んですぐ亡くなった母、養母、シャカ族の王だった父。亡霊となって現れる妻。出家してなお煩悩に苦しむ弟子たち、尼僧を受け入れた日のこと。涅槃に至るブッダの言葉の数々が、心地よい音楽のように綴られる。入魂の仏教小説。

著者等紹介

瀬戸内寂聴[セトウチジャクチョウ]
1922(大正11)年、徳島生れ。東京女子大学卒。’57年(昭和32)年「女子大生・曲愛玲」で新潮社同人雑誌賞受賞。’61年『田村俊子』で田村俊子賞、’63年『夏の終り』で女流文学賞を受賞。’73年11月14日平泉中尊寺で得度。法名寂聴。’92(平成4)年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、’96年『白道』で芸術選奨、2001年に『場所』で野間文芸賞を受賞。文化功労者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

101
寂聴さんが描く仏陀の最期。リアリズムではなく、霊となった仏陀の奥さんが語る章があったり、過去と現在を行き来するなど融通無碍の手法が取られていて物語全体にふくらみがある。一番印象に残るのはどろどろとした男女間の愛欲の世界だった。仏陀は聖人であってもそれを取り巻く人たちは私たちと同じ人間だったということだろうか。人間の命の儚さもきちんと書き込まれている。人間の世界がどうしようもないものであっても、私たちは生きていかなければならない。生き抜くことで仏陀の「この世はこよなく美しい」という言葉を実感できるのだろう。2014/01/20

月讀命

64
清水書院のセンチュリーブックス・人と思想④『釈迦』を読んだ事がある。集英社新書の『ブッダは、なぜ子を捨てたか』を読んだ事もある。人間釈迦について興味があったので、またこの本を手に取った。上記の2冊の内容と被るところが多いが、さすが小説家瀬戸内寂聴先生の文章であるので論文調でなく読み易い。釈迦というタイトルだが、主人公は弟子のアーナンダであり、アーナンダの目から見た釈迦の入滅を描き『死』というものを見つめる。人間は生まれ時から死ぬ事が運命づけられているが、人生は一生懸命生き抜くだけの価値はあるものであろう。2014/04/06

優希

50
釈迦の最晩年を弟子のアーナンダが語る物語でした。仏教の開祖と言われ、神格化されている仏陀ですが、この作品で「人間」として感じることができました。入滅するまでの仏陀の慈愛に満ちた言葉が心地よく流れています。煩悩から離れ、悟りの中で生きる仏陀と、迷い悩む人々の描写などリアルに感じられてなりません。涅槃に至った仏陀ですが、私たちは「死」が運命付けられているのですから、生きることで「この世はこよなく美しい」ということが実感できるのかもしれません。2014/10/23

saga

36
釈迦の生涯を、その語り部であるアーナンダが世尊晩年の侍者としての回想を書くことで、古代インドに誘われた気持ちになる。神格化されたブッダではなく、シッダッタ(〈梵語〉シッダールタのほうが馴染みがあるが)の悟りの境地に至った人間らしさが強く感じられた。同時に読んだ『聖☆おにいさん イエスとブッダのパネェ秘密』は、本書を読む上でも大変参考になった。2014/12/16

棕櫚木庵

24
<1/5> 釈尊最後の旅と,その旅の途中での回想によって,釈尊の生涯と弟子たちの姿を描く.すべてを包み込む釈尊の柔らく大きな姿と,その釈尊を慕う阿難の純粋さに心惹かれた.女性の苦しみが切々と描かれているのはやはり女性作家だからだろうか.遠藤周作『女の一生 第1部』の末尾,聖母マリアの前のキクの場面を読んだとき,聖母マリアはいままでどれだけ多くの女性の嘆きを受け止めてきたのだろうかと,マリア像が限りなく尊いものに思えた.本書でたくさんの苦しみ嘆きを聞き取る釈尊にもおなじような尊さを感じた. 2018/04/29

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