内容説明
遠い天からの光りに手が届かないから、それに近づいたと思えば虹のようにたちまちかき消えるから、私はいつまでも小説をあきらめることが出来ない…。出離(1973年11月)して理解が日々深まる源氏物語の女たちの心情や古都京都の底力のある美しさ。著者が小説に書いた大正デモクラシーの詩人や知識人のこと。本書は、作家寂著の内に流れつづける文学的時間を綴ったエッセイ集。
目次
第1章 煩悩の行方(旅へ;ある出逢い;目白台アパートの思い出;永遠の美女;バンクーバーの夏 ほか)
第2章 幸福と不安のカクテル(「うらむらさき」について;白秋の妻たち;白秋とらいてう;私と辻潤;作家の年齢 ほか)
第3章 「底に到って始めて休む」(さるすべり;恋に命を賭けた人;いっそう命を大切に ほか)
第4章 顔から顔へ(源氏物語の女たちの出離;「にごりえ」を読む;仏教への熱い視線 ほか)