出版社内容情報
年金改革に先駆けて描かれた企業年金の内幕
2003年、大手信託銀行で年金基金や運営のコンサルタントに携わる河野が主人公。金融市場低迷期に大企業の代行返上が始まった。その具体的内容と一般サラリーマンが手にする企業年金への影響はどうなるのか―。金融マーケットに蠢く外資系ヘッジファンドの狡猾なスキームや、年金基金で地道に働く人々の姿が緻密な取材のもとに描かれている。〈年金改革〉に先駆けた企業年金の内幕小説。
内容説明
二〇〇三年春、日本の株式市場は壊滅的に売り込まれ、破綻寸前まで追いつめられていた。そこに“代行返上”による更なる売り圧力がかかる。そんなカネの匂いに蠢ぎ始めた外資系ヘッジファンド。ハゲタカのように日本市場のクラッシュもいとわず、儲け優先で狙いをさだめた。その他、代行返上に伴う年金基金関係者の途方もなく煩雑な業務から浮かび上がる企業年金管理のずさんさ。厚生労働省、企業、サラリーマン個人、それぞれの視点から多角的にあぶりだされた“企業年金の実態”。企業人必読の問題作が、ついに文庫化。
著者等紹介
幸田真音[コウダマイン]
1951年生まれ。米国系銀行や証券会社を経て95年に作家デビュー。国際金融の世界を舞台に、時代を先取りした作品を次々に発表し大きな話題を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Walhalla
23
「年金問題」という言葉を聞くたびに、将来が不安になります。諸々の改革が行われていることは分かりますが、この作品ではタイトルまま「代行返上」をテーマとして描かれています。企業年金改革の1つとして実施されているこの制度ですが、株安の原因にもなるという指摘があり、そのあたりを著者である幸田真音さんが鋭く突いています。著者の金融小説は、わりとたくさん読みましたが、真音さんらしい視点で描いた作品でしたね。今さらではありますが、勉強になります。2018/03/01
まろまろ
3
企業年金の支給義務を国に返上するという「代行返上」、その実態を暴いた作品。株価暴落の危機を招く市場からの視点で進んでいくが、専門用語が多く飛ばし読み。ただ企業側で行う国との加入記録・突合作業は気が遠くなる。結局加入者が把握できないところでデータは改ざんされるのだ。年金の仕組がもっと単純明快(=公平?)であれば、私たちも関心をもてるのでは?2015/05/30
きむにー
2
複雑でわかりにくい年金の仕組みをざっくりだが、つかむことができた。右肩上がり前提の年金の仕組みで時代とともに制度自体が疲弊していることもあるが、一番の問題は国民全体の無関心なのではないかと感じた。2011/10/17
mako02
1
一時話題になった年金問題をとらえた本です。民主党が火をつけましたが、情けない結果になっております。みんな年金の在り方を信じてもいないのでしょうが、年をとればとるほど気にはなるものです。2013/03/03
76_skmt
1
★★★★☆2012/11/21