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あっちの豚こっちの豚

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  • サイズ B6判/ページ数 73p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093882712
  • NDC分類 913.8
  • Cコード C0093

出版社内容情報

自由って何だ? 発見された自筆の絵も収録

豚は、林の中でのんびりと自由気ままに暮らしていました。豚は、ピクニックに来たうさぎやきつねが捨てていった食べ物の残りを食べ、どろんこがあると裸でゴロゴロ転げまわって、ブッブッブッと笑い、どろどろのまま豚小屋に帰って眠ります。そんな日々の繰り返し。
ある日、りっぱな背広を着たきつねの紳士と真珠のネックレスをつけたうさぎの婦人が豚のところに訪ねてきました。
「われわれは文化的な生活をしています。あなたの豚小屋があるために、環境がこわれるんですよ」
ときつねの紳士に言われ、あ然とした豚にあっというまに「文化」の波は押し寄せる。待っていたのは真っ白で清潔な家、小さな二匹の子豚とコロコロ太った奥さん、そして、大きな街での毎日の仕事!
「おしえてください。このひとたちはいったいだれなのです。どこからきたのですか。ぼくは、豚小屋にすんでいた豚でした。家族はいませんでした。ぼくはたったひとりでした」
果たして豚は失われた自由を取り戻すことができるのだろうか。
作者・佐野洋子さんの死後に発見された30点の原画も初めて収録した〈大人と子どものための絵物語〉、待望の刊行!

【編集担当からのおすすめ情報】
著者自らがこの物語のために描いた30点の絵を見るだけでも価値があります。

内容説明

くさい?文化的?仕事?お金?家族?自由ってなんだ?幸せってどこにある?ヨーコさんが遺した30点の絵を初公開。大人と子どものための名作絵物語が甦る。

著者等紹介

佐野洋子[サノヨウコ]
1938年北京生まれ。絵本作家。2010年11月、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

pino

142
その昔、都会生活に馴染めず田舎に帰ったネズミがいた。やっと手にした沢山の金貨を、川に投げ捨てた若者もいた。こっちの豚は、裸で、ドロドロで、クーサくて、葉っぱを食べ、時々、銀色に光って、ブッブッと笑いながら暮らしていたが、キツネ夫婦の策略で文化的な生活を強いられる。絵に描いたような幸せの中で、何やら考えこむ豚の顔の絵に、ブッブッと笑ってしまう。ゴメン。こっちの豚が嫌だった生活も、あっちの豚には合ってたみたい。彼は出世して銀のボタンと金のボタンを押すようになるかも。あっちの豚を見る、こっちの豚の後ろ姿がいい。2013/02/23

KAZOO

133
佐野洋子さんが亡くなられた後に、出版された童話というか大人向きの本のような気がします。はじめはご子息の絵であったようですが、ほかの方も言われていますがこの佐野さんの絵の方が内容には合っている気がします。最近の世情を表している気がします。自由人と管理された人間を豚や動物などに表象していて内容的には考えさせられるものになっています。子供には難しいかも知れません。2015/12/20

chimako

87
豚は林の入口の豚小屋に住んでいた。林が切られ野原になり家が建ち、動物たちが住み着いた。豚は豚小屋に住み続けたが、きつねに呼び出されて帰ってくると見知らぬ家が建っていた。知らぬ間に妻や子どもが居て、給料を貰い傍目からは幸せに写る生活を営む。流されて変わっていく暮し。しかし、拭いきれない違和感。妻が欲しがるミンクのコート。「豚がミンクのコートを着てもいいのか?」と問うてみる。そしてある日、家族の写真を手にきつねに思いきって聞いてみた。「おしえてください。この人たちはいったいだれなのです。」と。これは他人事?2018/04/20

ぶち

82
この本、どう見ても大人向けなんだけど、どうして児童書コーナーにあるのかしら?これは、子どもが読んで、楽しいのかしら?「しかし幸せというやつは、ひととおなじことをやっていないといけませんからな」「"しかし"とか"よくかんがえてみますと"とかはいわないほうがいいのです。"しかし"とか"よくかんがえてみますと"とかは、いまの幸せをこわします」これは大人にしか分からない。でも、大人だってこれが完全に正しいとは自信を持って言えません。大人の中には、あっちの豚とこっちの豚の両方が住んでいるのですから.....2018/11/26

mocha

70
なんともシュールな世界。“人並み”というのが幸せの一つの尺度ではある。だけど価値観の押し付けは駄目でしょう。豚さんの好きなように暮らさせてあげて。と思う一方で、ワイドショーでゴミ屋敷を見ては「何て迷惑な!」と思うし、近所にいつも裸のおじさんがいたら眉をひそめるだろう。個性の尊重なんて所詮せまいせまい許容範囲での話。2021/06/02

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