出版社内容情報
無益な戦、秀吉に面従腹背で臨む行長
秀吉の臣下、武人・加藤清正と商人・小西行長は、好対照をなす武将だった。
大陸侵攻の戦は、すべてが徒労だった。恨みと不満は朝鮮を焦土と化して、飢えと寒さが民と兵を襲った。この無益な戦を止めるため、清正に先を越されないよう、行長は才の限りを尽くして、清正を翻弄する、同時に面従腹背で臨んでいた秀吉の死を待っていた……。
そして、ついに秀吉は死んだ。戦いは終わったのだ。が、一人の野望家が消えれば、新しい野心家が現れ、また新たな戦いが繰り広げられていく。
小西行長と加藤清正の宿命の体験は、まだ終わっていなかった……。
遠藤 周作[エンドウ シュウサク]
著・文・その他
著者等紹介
遠藤周作[エンドウシュウサク]
1923年(大正12年)3月27日‐1996年(平成8年)9月29日、享年73。東京都出身。1955年「白い人」で第33回芥川賞を受賞。キリスト教を主題にした作品を多く執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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もだんたいむす
7
主人公、小西行長。添え物、加藤清正。って感じだな〜。ちょっと秀吉がかわいそうで嫌だった。★★★☆☆2015/11/10
kumako
3
上巻の上り調子な感じとは打って代わり、下巻は朝鮮侵略戦争の失敗や秀吉の死、行長が立身出世の野望を捨て「この世のすべてのものは、はかない」という心境になる場面などは読んでいて辛くなりました。「この世にては、よろず変転きわまりなく、止まるものはひとつもなし」上りつめた後には落ちるしかないのか…ああ、はかない。2019/04/22
もかすけ
1
武士道っていうとカッコ良く聞こえるけど、謀略、裏切り、下克上、何でもありの世界。だからみんな生きるのに必死だったんだろう。2023/11/17
sichi
0
次は、鉄の首枷、かな。2016/09/08
Solanum tuberosum
0
同じ境遇で出世しながら、生来の性格の違いから対立を深めるもの。その漁夫の利を狙うもの。歴史小説ながら人間の業を寓話的に表現していると思います。2016/04/21