内容説明
たっぷり挫折感を味わわされて、初めて厳しい昇進レースに思いを致すとは、なんと迂闊な話ではないか。いままでが順風満帆であり過ぎて、過信していたからなのか。それとも、仕事にかまけて、うっかり忘れていたということなのか―。そんな莫迦なと広岡は思う。広岡は、寝つきのいいほうだったが、今夜に限って睡魔は襲ってこなかった。同期入社組のライバルたちの顔が眼に浮かぶ。男の一生を決定する一通の辞令。左遷。栄転。失意。希望。不安。思惑。陰謀。背信。ビジネスマンの命運を握る〔辞令〕のカラクリに迫る!書き下ろし長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
wakazukuri
1
サラリーマン人生、上になればなるほど大変だ。表面上は何喰わぬ顔をしていても、引っ張り合い。部下に追い越されるのも怖いし、力のない上司ほど顕著。しかし、上司は部下を如何に育てるか、自分の事しか頭になく、ゴマすり人間は見苦しい。実力のないものが上を目指しても苦労するだけ。どちらにしろ面白かった。2018/07/02
藤澤謙光
1
サラリーマンの宿命 辞令ひとつで本人のみならず、家族の人生にも大きく影響を及ぼす事も… はぁ…ってカンジ…2014/09/19
スライサー
1
古い本ですが内容はとても面白い。 勿論、携帯電話がある時代と無い時代では情報の伝え方が全く違うので その辺は割り切って読まないといけないが、いかに権力者によって恣意的 な人事が行われているかと言う事が良く分かる。反面教師にしたい。2014/09/10
Yoshiteru Hayashi
0
佐高信氏の『高杉良の世界』を読んで、高杉良の作品を是非読みたいと思っていた中で、古書店で見つけた最初の一冊です。階級化された組織の中で働くサラリーマン。過酷な競争社会で出世競争に勝ち抜くのはごく一部。そこには葛藤、競争、背信、陰謀、諦念、様々なドラマが。小説であるが、徹底した取材によるリアルな現実を描く、高杉良の筆致に魅了されました。2019/02/27