内容説明
2009年、ヒートアイランド化した東京。神楽坂にはアザーンが流れ、西荻窪ではガイコクジン排斥の嵐が吹き荒れていた。破壊者として、解放者として、あるいは救済者として、生き残る少年/少女たち。これは真実か夢か。『アラビアの夜の種族』の著者が放つ、衝撃の21世紀型青春小説。
著者等紹介
古川日出男[フルカワヒデオ]
1966年福島県生まれ。早稲田大学第一文学部中退後、編集プロダクション勤務等を経て、1998年に『13』でデビュー。2002年、『アラビアの夜の種族』で第55回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)と第23回日本SF大賞をダブル受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
iku
9
なんともエネルギッシュな小説でした。小笠原の孤島に漂着した少年と幼女の、野生に導かれた道行き。2008年や09年と過去なのに未来…、それともパラレルワールドか。熱帯化が進み、不法移民や地下住民が跋扈する無法化した東京都下。地名や町並みが実際に沿っているのが、歪みとリアリティを共存させる。正義は野生の導きにのみ宿り、そうでないものを駆逐し、東京を奪還する…。なんとも奇想天外で、終末の世界観なのに、野生の揺るぎなさに爽快感すら感じました。柴田元幸さんがここから古川日出男に入ったとのことで、手に取った本。2015/05/04
なつめ
3
読了後にジワジワくるものがある。登場人物もみんな個性的で惹かれます。しかし、ヒツジコのダンスはともかくトウタの音楽が死んでいる必要はあったのか?と思ってしまう。生い立ちを下敷きではなくスクリーンにすることには成功していますが…。2011/04/05
ろびん
1
誰も彼も狂ってんなあ……。2019/12/17
warimachi
1
何気に初古川。劇作家もやっている人だからなのか、「場面」の力が強いなあと感じた。大暮維人あたりが漫画にしたらハマるのではなかろうか。終盤駆け足というか力尽きたふうなのが残念。2019/11/01
orangepelican
1
神楽坂界隈の細かい舞台設定が非常に面白かった。あの界隈を知る人は読んでみると良いかも?ストーリーとしてはイマイチ理解できないことも多々あるのですが、文章としての表現力には感嘆しました。特に「ガール」たちの描写が印象に残った。好きな人は好き、という感じで、万人受けする小説ではないと思いますが、読み応え十分でした。2014/07/13