内容説明
「江戸っ子の初湯は千両。せめて値千金の初語り、ブタバコの湯銭がわりに聞いておくんない」大正義賊の活躍を描く痛快人情譚。
著者等紹介
浅田次郎［アサダジロウ］
１９５１年東京都生まれ。１９９５年『地下鉄に乗って』で第１６回吉川英治文学新人賞を、１９９７年『鉄道員』で第１１７回直木賞を、２０００年『壬生義士伝』で第１３回柴田錬三郎賞を受賞
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感想・レビュー
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酔拳2
48
いやもうね、サイコーっすよ。なにがいいって？知らざぁ言って聞かせやしょう。明治の終わりから大正ロマンの渡世をまっつぐに駆け抜けた目細の一家の武勇伝でい。いや、武勇伝てのはちと大袈裟か。世のため人のためタァ言わねえが、人の世の守んなきゃいけねえもんを若え衆に叩っこむのも、人生の先立としては必要なのかねぇ。とっくり語ってやるから、耳かっぽじってよぉく聞きやがれ。 て、俺誰やねん。2019/09/23
Shinji Hyodo
23
第一夜『初湯千両』から『銀次蔭盃』までの六つの夜話。今回も『目細の安吉』一家の子分達の胸のすくような仕事っぷりを松蔵が時に闇語りで披露する。竹久夢二、森鴎外、永井荷風など豪華キャストも登場するが話に大袈裟な所がまるで感じられ無いほどに引き込まれてしまう…やはり面白い。11歳の松蔵少年が生きて、つぶさに見た大正の時代の任侠の粋で鯔背で侠気と人情味溢れる世界を堪能しました。2014/08/25
S.suzuka
21
〝天切り松〟第三巻。6つの連作短篇。大正義賊ピカレスクロマン〈勇気というもののありか〉〈銭金じゃ買えない心意気〉〈銭金より命よりも大事なもの〉〈通さずばならない筋の通しかた〉〈天下の大器量〉その全てがここにある..「恰好良いとはこういう事かぁ」と唸ってしまう。『胸が○○』という表現があるけど、たくさんのモノが胸を通り過ぎる〈騒ぎ→痛み→熱くなり→一杯になり→張り裂け→躍り→すく〉この心地を形容すること自体が不粋というものかナ.. 圧巻は第六夜「銀次蔭盃」涙を止めようがない T_T 闇がたりが心に沁みる..2013/12/01
誰かのプリン
20
書生常が、一人5役の百面相で当時の一万円を騙しとる手口が天才的。 警察だけでなく、身内の明細の親分まで騙したのだから。またいつになく、突然永井荷風が現れ皆の相談に乗っている姿が微笑ましい。2019/02/01
藤枝梅安
20
表題にもなっている「初湯千両」は説教寅こと寅弥の過去が語られ、寅弥の男気が心を打つ。 「共犯者」は書生常こと常次のペテンの技が冴える。 一体何人に変装したのか、親分の安吉の詰問にも答えない常次のプライドがカッコイイ。 「宵待草」は振袖おこんと竹久夢二との、まさに夢のような出会い。 「大楠公の太刀」は黄不動の栄治と幼なじみの赤坂の小龍ことお宮の物語。 鴎外こと森林太郎まで登場し、お宮の安らかな最後を栄治が命がけの仕事で見送る。2010/03/21
