出版社内容情報
世界一有名なカップル〈ロミオとジュリエット〉が現代を舞台に甦る! 人生の達人・鴻上尚史が描く、ロミオになるはずだった男たち、ジュリエットになれなかった女たちの苦悩と悲哀、嫉妬と破滅。
鴻上 尚史[コウカミショウジ]
内容説明
劇的なことすべてに見放されたあなたは、現代を生きるロミオとジュリエット。人生の達人・鴻上尚史が贈る、最新小説!
著者等紹介
鴻上尚史[コウカミショウジ]
1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学法学部卒業。在学中に劇団「第三舞台」を結成。以降、作・演出を手掛ける。1987年「朝日のような夕日をつれて」で紀伊國屋演劇賞、1992年「天使は瞳を閉じて」でゴールデン・アロー賞、1995年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞する。日本劇作家協会会長。現在は「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を主宰し活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
西
35
2本の中編小説で、どちらの作品も、作者の鴻上さんと同じ演劇の演出家が主人公。味わったこともない演出家の苦悩が溢れていて、自分はこんな苦しみを味わうだけの覚悟は持てないだろうなと思う(そもそも演出家の才能がないが)。人間の弱さに目を背けず、どんなに見苦しくても見続ける鴻上さんだからこそ書ける作品だと勝手に思っている。特に二作目の、主人公がいたたまれず逃げ出してしまうところ、その主人公へのある登場人物の想いなど、読んでいて胸が苦しくなる。実際に演劇として上演されたらどうなるんだろう、見てみたい2017/05/20
marumo
29
「ロミオとジュリエット」、ミュージカルは私も大好きなんでワクワクしたんだけど、どちらかといえば演出家、主演俳優・女優の三角関係が、稽古中にこじれていくその行程がメインでちょっとがっかり。もっと稽古中の描写が読みたかったんですけど。で、ロザライン、って何?というか誰?でした。ロミオったら・・。原作読んでないんで知らないのが恥ずかしいけど、これホント?あとで調べてみよう。2017/07/08
bibi
28
主役がジュリエットじゃなく、ロザライン!?と興味を引いて、手に取った一冊。演出家の苦悩の一端が垣間見え、面白い。「それで、それでどうなるの!?」と思っていたら、劇の稽古と現実が混同してしまう。そして、2話へ。オセロなんだから、そうなの?今まで内容の重たい本を読んでいたから、なんか結末が軽く感じてしまいました。2019/05/10
Twakiz
23
劇作家・演出家の鴻上先生の小説.劇団の裏事情ってこういうこと(色恋話のもつれ)がしばしばあるのだろうか.役者さんはどのように登場人物になっていくのか,劇中の恋人はやはり実生活でもくっきやすいのか.シェイクスピアに疎い自分は,原作をまず読まねば.ピンクのパーカーはせつない.2019/12/08
くみこ
21
貧乏劇団を主宰する演出家が主役の「ロミオとロザライン」、演出助手から晴れて演出家になった男性が主役の「オセローとジュリエット」。ちょっとリンクする部分もある二編。どちらの演出家も若い女優に夢中になって、ロミオ役の俳優に嫉妬します。さらにロザラインの思い、[オセロー…」では演出助手の嫉妬が、舞台と現実とで絡み合ったストーリー。舞台に関わる人達は情熱的で個性的、時に利己的な中、ロザライン役の美香子の真っ当さが光りました。商業演劇の裏側を覗いた気分にもさせてくれます。2018/07/30