内容説明
美佐子は結婚して5年が経ち、夫・晴之への想いが、ときめきの恋からいたわり、情へと移り変わってきたことを感じている。そこへ昔の女友達の安寿香夫婦が同じマンションへ越してきて、晴之と安寿香は急速に接近し、美佐子も安寿香の夫・森本氏に惹かれていく。二組の夫婦のあやうくて不思議な関係を描く表題作。愛のグラデーションに透けてみえる、男と女のせつなくて温かい極上の物語6編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
79
面白かったです。夢を見ているような淡い愛が見られる短編集。男女の切なくてあたたかい関係に引き込まれました。自分の周りにある小さな日常の幸せを大切にしているのだなと思わされます。2018/01/24
ミサ
13
短編集。「何のために人間生きとるか。楽しむため。笑うため」って言う、よっしゃんが愉快や。私もこんな男友だちが欲しい!仕事をリタイアして人生を謳歌しようとするおっちゃんの「老年人生再構築の気力」も素敵。日常はままならなくとも、心はいつもポジティブ!2021/12/21
miho
7
お聖さんは読み尽くしたと思ってたのにまだまだ取りこぼしがあるようで、これも初読み。柔らかい大阪弁の漫才みたいなやりとりに油断してへらへら笑ってると、その行間にすべてを達観した冷静な視線を感じてぞくりとさせられる。やっぱりすごい人だ。2017/06/18
ゆにこ
6
この本に出てくる人達は言葉使いが乱暴に聞こえるとこもあるけど、根はいい人ばかり。人間って愛しいなあ。2012/09/09
tubasa
2
読んでいて思わず「うふふ」と小声で笑ってしまう。気取らない男女の関係は、理想的に思えて、人間力の深さにも思える。こういう会話が出来るのって、関西ならではという感じがして、ちょっと羨ましい。 昔田辺聖子さんがモデルの朝ドラが、こんな感じで楽しかったっけ。なんだか悲しい事ばかり起こるこんな年には、こういう軽い本がいい。田辺聖子さんの本、また読みたい。2024/02/01