内容説明
日本が未曾有の好景気に沸いていた時代、2年ごしの交際をへて広告代理店勤務の文彦と派手な結婚式をあげた永遠子。その日が人生最高の日だった。順調にスタートをきったはずの結婚生活は、バブルがはじけたことから、下降線の一途をたどる。不倫、リストラ、親の介護…。諍いと後悔にあけくれる日々から、夫婦はどう再生してゆくのか。結婚の真実を描く長編小説。
著者等紹介
唯川恵[ユイカワケイ]
1955年金沢市生まれ。金沢短期大学情報処理学科卒。銀行勤務を経て84年「海色の午後」でコバルト・ノベル大賞受賞。以後、恋愛小説やエッセイを発表し、02年「肩ごしの恋人」で第一二六回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
71
1989年バブル絶頂期、主人公永遠子と公彦は豪華な結婚式を挙げ、新生活がスタート。そしてバブル崩壊で生活は一変する。頭の100頁ほどで放棄をしたくなる。結婚と同時に壊れべくして壊れたた夫婦関係、離婚する勇気もエネルギーもない二人への失望感と嫌悪感で意欲が失せた。〈我慢して読み進む〉妊娠、長女誕生が再生の道を拓くきっかけに。結婚しても強すぎる自己主張意識を変えられなかった永遠子が、母になることで目覚める。≪子は鎹である≫。それにしてもこの著者は、男の本性を実に見事に引出しているのに脱帽する。重い小説でした。2015/09/14
kaizen@名古屋de朝活読書会
22
ありふれた日常生活のように書くのがうまい。 悲惨そうな事も、悲惨そうに書くのではなく、それも日常の変化の一つにすぎない。 人間として、筋がぶれていないことが大事。 良い伴侶(beter half)をどうやって選ぶか、悩んでしまう。 いえ、どうやって選んで貰えるかを悩んだのかもしれない。2013/03/12
なつ
21
世代が違うのか、夫にも妻にも共感出来ず。でも見たくない所(見ないふりでいたい所)を見せられた感がして、痛い。他人同士が結婚して夫婦になって家族になる。反の合わないこともあって当然。山あり谷あり。いいことも悪いことも。2017/08/12
ひろっぴー
18
ある夫婦の結婚からの8年のあれこれ。 すれ違ってばかりだけど、度々起こる事件の度に気持ちが合っていく。 よく離婚まで行かなかったと思うが、娘が成長して自立したらこの夫婦はどうなるのだろうかと思わないでもない。 2022/08/10
湘子
14
唯川さんの本はこれで15冊目だけど、私はこれが一番興味深く面白く読めたなぁ。主人公が自分の歳に近くて親近感が湧いたのと、結婚・浮気・出産・流産・お受験・親の離婚&再婚・介護・リストラ・・・そりゃあもうてんこ盛りの内容でいろいろと勉強になりますです、はい。でも今の歳で読むからいいのかもしれないけど、これ若い人が読んだらどう思うのかな?2012/09/02