内容説明
ワセダの三畳間に沈没するライターのタカノ青年は、台湾の美人社長に見込まれ、なぜか多国籍新聞社の編集顧問に就任。勇み立ったはいいが、アジア各国のツワモノたちに翻弄され、たちまちハチャメチャな屋台的世界に突っ込んで行く。果たして彼と新聞社の未来は?在日アジア人と日本人の夢と現実を痛快に描く自伝的トーキョー青春物語。『ワセダ三畳青春記』『異国トーキョー漂流記』の姉妹篇。
目次
プロローグ 宇宙人の会社
第1章 エイジアンとの遭遇
第2章 アジア新聞の爆走
第3章 アジア人の青春
第4章 新聞屋台の「こだわり」と「無節操」
第5章 エイジアンの憂鬱
第6章 エイジアンの逆襲
エピローグ アジアの子
著者等紹介
高野秀行[タカノヒデユキ]
1966年東京都生まれ。早稲田大学探検部当時執筆した『幻獣ムベンベを追え』でデビュー。『西南シルクロードは密林に消える』『巨流アマゾンを遡れ』など辺境探検をテーマにしたノンフィクションや、『異国トーキョー漂流記』『アジア新聞屋台村』など、早稲田時代の青春や日本での異文化体験を描いた作品を執筆。2006年『ワセダ三畳青春記』で第一回酒飲み書店員大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
371
高野秀行氏がまだ独身の頃だから、幾分かは旧聞に属することになるが。彼がスーパーウーマン劉社長のもとで「エイジアン」新聞の編集顧問をしていた時の抱腹絶倒のエピソードの数々を綴ったもの。全ページ面白い。高野ファンには強推薦!(もう読んでるか)高野氏のほろ苦い青春時代も語られる。実らなかった恋、社での奮闘のあれこれ。アジアらしいフレクシブルさと日本の常識や合理性を前にして、彼がしばしば矛盾と葛藤に立たされた時の考察もまた秀逸だ。再出発で幕を閉じる最後も爽やかな印象を残す。 2017/11/07
ゆいまある
61
高野秀行さんの本は、辺境での体験記も面白いけど、東京で関わった人の話が切なくて好き。エイジアンというアジア各国の新聞出してる会社に所属していた時の話。集団行動は嫌いな癖に、責任感が強くて人がいいし、頼られるのが大好きなので、自由気ままなエイジアンの雰囲気最高!と、言いながら自分の気持ちに振り回されて、段々心に澱が溜まっていくまで。そもそもエイジアンが好きだったんじゃなく、劉さんの魅力に引っ張られたんだと思う。そして、朴さんに失恋して情熱も醒めたんだと思う。どうして朴さんと付き合わなかったの〜。2018/09/17
mr.lupin
57
のっけから間違えた~ アジアの屋台村、いわゆる食べ物の屋台村での話かと思い込んでいたら多国籍アジアの新聞社の話だった。筆者の高野さんを始め社長の劉さんや朴さんや個性的な人々達も十分に楽しませてくれた。しかしあんなにもいい加減な仕事?で新聞を発行することができるんだろうか?(笑) 一度こんな会社で働いてみるときっと人生観が変わるんだろうな~ ☆★★★★2019/05/16
ホッケうるふ
50
「異国トーキョー漂流記」が著者の私的外国人見本市ならこちらは業務上アジア人見本市といったところか。東南・東アジア人たちのビジネスパワーに圧倒されるが逆説的日本人論にも読める。そんな中で仕事のできる朴さんとの恋愛未満が切ない。著者と朴さんのようにお互いに思い合っていても日韓関係の根深い溝は完全に埋まる事がないのかもしれない。そして劉さんの猪突猛進ぶりから会社と著者の関係はもちろん会社そのものがいずれ破局を迎えるだろうと身構えて読んでいたが予想に反ししなやかなエンディング。やはりアジア人のパワーは強かだ。2014/06/23
ゆきらぱ
49
高野さんがアジア各国の新聞を作っている会社に勤めていたときの話。色々な国の人々に囲まれているのだが、他国の人といると日本人がどのような民族かよくわかるようだ。この本に書いてあるとおり、日本人は他人の評価を気にして行動する。これはほんとにそうだなぁと思った。そして世界の中でも職人としては最適だという。それもそうかも!とも思った。異様な細かさとか職人向ですよね。新聞社といっても編集長も編集会議もないユニークな会社なのだがいつも通り魅力たっぷり、熱く語られてる。高野さんの本はどれも「青春記」って感じなのです。2018/11/28