出版社内容情報
最愛の娘が不審な溺死体で発見された。警察は自殺と断定し動かない。極度のうつ状態を経て、母は人生をかけて絶対に娘の死の真相を知ろうと決意をし──。罪と罰を考える衝撃作。(解説/吉田伸子)
周防 柳[スオウヤナギ]
著・文・その他
内容説明
二十歳の女子大生が溺死体で発見された。両手首と片足首には縄で縛ったような痕があり、彼女は妊娠をしていた。最愛の娘を亡くし、晶子は呆然とする。なぜ死んでしまったのか、子供の父親は誰なのか。自殺と断定して捜査を打ち切った警察に代わり、母は残りの人生を賭けてその真相を追うことを決意する。復讐のかなたに晶子が目にした光景とは―。極限の人間心理を描く衝撃の長編ドラマ。
著者等紹介
周防柳[スオウヤナギ]
1964年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、編集者・ライターに。2013年「八月の青い蝶」(「翅と虫ピン」改題)で第26回小説すばる新人賞、15年同作で第5回広島本大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぱどり
17
女手一つで大切に育ててきた娘が自殺した。娘の自殺の原因を突き止めるため動く主人公を追った物語。Rの手にかかった女性が主人公に乗り移るような、精神の均衡を欠いたような、そんな描写にぞわりとした。2018/05/24
なえ
9
主人公と探偵の体関係は必要だったの?子供の自殺について探偵に依頼して、自分は犯人と思わしきRのバイト先に潜入している話。ただそれだけだから、読んでる時は常に雲の中で浮いてる感じでした。何も感じないのは私が異常なのかしら。2018/05/11
JKD
9
最愛の娘が突然自殺した。遺族にとっては大事件なのに理由ががないので事件ではないという。Rの屈折した態度と性格は赦せない。こういう感性の人間もいるのかと思うとゾッとする。2018/04/08
KG
4
最初は退屈だった。娘を失った母の哀しみと後悔が続く。自殺した楓子の彼氏の存在よりも、そこに理由を求める主人公の執着の方が怖かった。一通りの説明が終わり、登場人物が揃った中盤あたりだっただろうか、俄然面白くなった。Rの性格が分かり、過去が分かってくると、こいつは彼女の自殺に無関係ではなさそうだと思えてくる。Rの主観は描かれず、神の視点でやったことがリプレイされるわけでもない。あくまで主人公の視点から導かれた一つの結論には辿り着くのだが、それが真実かは分からない。小説としてはもどかしいが、それが現実なのかも。2021/12/22
ありん
4
母子二人で慎ましく暮らしていたが大学入学と同時に一人暮らしをしていた娘楓子が自殺した。お腹には赤ちゃん。手首や足首に縄で縛ったような痕。お正月を挟んだ年末年始ではあんなに元気に見えたのに。娘の自殺の原因を探る母。とても美しいRの存在。狂気のような母の思い。溺愛する娘を理不尽にも自殺に追いやられた母とは、このように自分を追い詰め、悲しむのだと思った。2018/04/16