出版社内容情報
大坂を舞台に描く食いだおれ時代小説!
大坂西町の新任奉行、大邉久右衛門。大食漢で美食家で、人呼んで「大鍋食う衛門」。食の町大坂を舞台に描く、謎あり恋ありの痛快時代小説。書き下ろし1編を加えたオリジナル文庫(解説/有栖川有栖)
内容説明
大坂西町奉行所に型破りな奉行が赴任してきた。名は大邉久右衛門。大食漢で美食家で、酒は一斗を軽く干す。ついたあだ名が「大鍋食う衛門」。三度の御膳が最優先で、やる気なしの奉行に、与力や同心たちはてんてこ舞い。ところが事件が起こるや、意外なヒラメキを見せたりする。ズボラなのか有能なのか、果たしてその裁きは!?食欲をかきたてる、食いだおれ時代小説。
著者等紹介
田中啓文[タナカヒロフミ]
1962年大阪府生まれ。神戸大学卒業。93年「凶の戦士」で第2回ファンタジーロマン大賞佳作入選、ジャズミステリ短編「落下する緑」で「鮎川哲也の本格推理」に入選しデビュー。2002年『銀河帝国の弘法も筆の誤り』で第33回星雲賞日本短編部門、09年短編「渋い夢」で第62回日本推理作家協会賞短編部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶち
111
またもや面白い時代物シリーズの発見です。"犯科帳"とあるように捕り物(ミステリー)としても堪能できるのですが、大阪の美味しい物がたくさん登場してくるのも楽しいのです。さらに、江戸時代の捕り物帖には珍しく大阪が舞台のため、この時代の大阪の奉行所システムや大阪の風物のトリビアな知識を随所に散りばめてくれるという作者の大サービス。勉強にもなります。全体を流れる雰囲気はまるで上方落語のようなおっとりとした空気。ゲラゲラと笑うのではなく、しみじみとした笑いです。シリーズ、追っかけます。2021/01/30
ユメ
82
大坂町奉行となった大邉久右衛門は、人呼んで「大鍋食う衛門」。その脇を固めるのも愉快な人物ばかりで、食材の良さもさることながら、食材同士のバランスも絶妙である。そこに食を絡めた謎解きや大坂の町の雰囲気も加えれば、美味しい鍋の出来上がり。ポンと腹鼓でも打ちたい。『笑酔亭梅寿謎解噺』シリーズで語られる「古き良き大坂」がそのまま抜け出してきたようだ。田中啓文風大坂は舌触りが良かった。謎解きもスッキリ、久右衛門の食べっぷりも天晴れで、気分がパアッと晴れる。こんな「鍋奉行」になら振り回されるのも悪くはない、かも。2015/05/29
そうたそ
54
★★★★☆ 池波正太郎さんの「鬼平犯科帳」から思いついたであろうこのタイトル。池波正太郎さんといえば、美味しそうな料理が作中に登場することでお馴染みだが、この作品もその点において負けてはいない。更にミステリ要素もプラスされ、最初から最後まで大満足の逸品だった。厳密なことを言えば、時代考証が曖昧だとか色々挙げられるのだが、正直言ってそんなことはこの作品において重要ではない。食を愛する御奉行とユニークで落語調なストーリー等々。「鍋」奉行とあるが、鍋に限らず「食」そのものが好きなところがまた良し。2014/09/02
yanae
53
時代物。大阪奉行所の食いしん坊「鍋奉行」が美味しいものを食べまくりながら事件を解決していきます。食いしん坊奉行もそうだけど、他のキャラも個性があって楽しかった。すゑが一番お気に入り。ドラマとか映像になりそう。でもお腹がどーんとでた奉行役は誰がやるのかな。シリーズになってるようなのでゆっくり読んでいきます。2016/09/30
Norico
51
落語の梅寿シリーズが面白かったイメージの田中さん。鍋奉行の犯科帳、タイトルだけでも面白そう!食い倒れの街大阪の食い道楽のお奉行、大鍋さま。読んでてお腹が減りまくります。食への飽くなき欲求とともに、ちゃんと事件も解決するし、名奉行です(笑)はぁ、うなぎ食べたい2016/03/20