出版社内容情報
瀬戸内 寂聴[セトウチ ジャクチョウ]
著・文・その他
内容説明
父親を知らずに美しく成長してゆく奈々緒は、色街で料亭を営む母・菊江と別の家に暮らしていた。菊江が財界人の元愛人だったことを知り反発を覚えながらも、贅沢な生活を謳歌する奈々緒。ところが女学校卒業間近なとき、菊江に自分の眼鏡に適った男を押し付けられ家出を…。母娘の相克を描く名作の新装版。
著者等紹介
瀬戸内寂聴[セトウチジャクチョウ]
1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒。’57年「女子大生・曲愛玲」で新潮社同人雑誌賞、’61年『田村俊子』で田村俊子賞、’63年『夏の終り』で女流文学賞を受賞。’73年に平泉・中尊寺で得度、法名・寂聴となる(旧名・晴美)。’92年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、’96年『白道』で芸術選奨文部大臣賞、2001年『場所』で野間文芸賞、’11年『風景』で泉鏡花文学賞を受賞。’06年、文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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布遊
26
寂聴さんは、初めて?2冊目かな?予約本がなかなか回ってこなかったので、図書分館の少ない本の中から選んで読んだ本。寂聴さんは敷居が高かったが、興味本位の内容はすらすら読めた。ノスタルジックな内容。2023/01/13
猫科とらねこ
11
菜々子の母親の菊江がこれまた凄い女性だった! そして愛のない結婚でも子供は産まれるのよね…子供がかわいそうだったわ。女であるというのは死ぬほどの苦難かもしれないな、だから楽になるためにおばちゃんやお母さんになるのかもしれない、菊江はなれなかった…。2019/07/09
チサエ
7
「あたしは、家を出て以来、色んなものが新しく新鮮に見えて、楽しくてならない時と、何もかも灰色にみえて、もう気を張って生きていくのがつくづく面倒で、その場に坐りこんで、雪がとけるように消えてしまいたいような意地も張りもなくなる時があるのよ」2021/11/20
yuko
4
ご逝去を機に、初めて寂聴作品を手に取った。 沢山の作品から、初心者でも大丈夫そうな内容を選んだが、読みやすい文体でどんどん進めた。 裕福だが愛情の薄い生い立ちの主人公が愛のない結婚生活の末に本当の幸せを手に入れると言う、ありふれたテーマたが、これは官能小説?と思うほど、性に対する描写が刺激的で、直接的な言葉ではないにも関わらず、昼間の電車で読むのが気恥ずかしかった。 女性として紆余曲折の末に出家した方だからこそ、これほど女性がドキドキする表現になるのか?文章力と言うものを感じさせられた。2021/11/25
obanasi
2
初めて瀬戸内寂聴さんのお話を読みました。最初は読みきれないんじゃないかと思うほど進みが遅かったけど、途中からスイッチが入ったように面白くなって、すぐ読み終わった。なるほど流石、瀬戸内寂聴だなと思う女性の波乱万丈な人生でした。私も同じ女だけど、この本の感情と同じものは少しも持つことなく一人で生きていきそうだなぁと思った(笑)2021/02/28