講談社文庫<br> 子規、最後の八年

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講談社文庫
子規、最後の八年

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  • サイズ 文庫判/ページ数 523p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062930802
  • NDC分類 911.36
  • Cコード C0195

出版社内容情報

二十八歳で結核を発症し、三十五歳で逝った子規。近代日本の文芸表現の道筋を決めた、その濃密な晩年を描く。二十八歳で結核を発症し、三十五歳で逝った正岡子規。脊髄カリエスによる激しい痛みに堪えながら、新時代の言語表現を追求する彼の病床には、漱石・虚子ら多くの友が集った。そしてその濃密な晩年は、現代日本語の書き言葉を完成させる道程でもあった。命尽きるまで情熱を燃やした子規の功績を辿る、近代日本文学史の労作。


子規の表現欲、旧文芸に対する改革欲、「親分」欲、「座」を主宰することへの演劇的情熱、そして食欲、どれをとっても病臥後のほうがはっきりしているし、またはなはだしいのである。子規の本領は、その早すぎた晩年のほうにある。
――「あとがき」より――

序章 ベースボールの歌
明治二十八年
明治二十九年
明治三十年
明治三十一年
明治三十二年
明治三十三年
明治三十四年
明治三十五年
終章 「子規山脈」その後
あとがき
参考文献一覧


関川 夏央[セキカワ ナツオ]
著・文・その他

内容説明

二十八歳で脊髄カリエスを発症し、三十五歳で逝った正岡子規。激痛に耐えながら、新時代の言語表現を追求する彼の病床には、漱石・虚子ら多くの友が集った。そしてその濃密な晩年は、現代日本語の書き言葉を完成させる道程でもあった。命尽きるまで情熱を燃やした子規の功績を辿る、近代日本文学史の労作。

目次

序章 ベースボールの歌
明治二十八年
明治二十九年
明治三十年
明治三十一年
明治三十二年
明治三十三年
明治三十四年
明治三十五年
終章 「子規山脈」その後

著者等紹介

関川夏央[セキカワナツオ]
1949年、新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。’85年『海峡を越えたホームラン』で講談社ノンフィクション賞、’98年『「坊っちゃん」の時代』(共著)で手塚治虫文化賞、2001年『二葉亭四迷の明治四十一年』など明治以来の日本人の思想と行動原理を掘り下げた業績により司馬遼太郎賞、’03年『昭和が明るかった頃』で講談社エッセイ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はたっぴ

81
数年前に一読以来、機会があれば…と思っていた作品を再読。正岡子規の晩年の8年間が、膨大な書簡や記録により克明に描かれている。親友の漱石や秋山真之、虚子らのサイドストーリーもボリューム満点。文豪仲間や門人との交わりも漏れずに日記風に記された一冊となっている。尽力した文学の革新のみならず、戦時風景や政治経済に関する記載もあり、子規や漱石が生きた明治の一時代が見えてくる。食いしん坊の子規が、上機嫌で門人達と闇汁会を楽しむ姿が脳に刻み込まれ、創作欲と食欲に支えられて病魔と闘った半生を心から天晴れと思った。2016/05/21

chanvesa

27
「子規に『私小説』がきざす方向性がなかったのは、…彼の精神が多忙であったからである。(397頁)」彼の書いたものは、病苦にあっても淡々として、そして食欲旺盛な印象が強いが、妹の律や高浜虚子との関係の変化には身を引き裂かれる苦しみがあったのだろうと伝わる。関川さんは子規のテクストに立体化させる補助線を引いてくれる。そして漱石との関係で、「子規は漱石の『読者』であった。漱石の手紙をむなしく待ち暮らした人であった。ひるがえって考えれば、自分もまた鏡子の手紙を待ちつづけた『読者』であった。(375頁)」が印象的。2017/08/11

駄目男

5
なんとか読み切ったけど疲れました。それにしても子規の晩年はあまりにも哀しい。絶叫、号泣、正岡子規と言ったところだろうか。「試みに我枕もとに若干の毒薬を置け。而して余が之を飲むか飲まぬかを見よ」。想像を絶する痛みの中でよくも耐えて書き続けたものだと思う。脊椎カリエスとはどのような病気か知らないが読むほどに子規の絶叫が伝わってきそうで辛い。 俳句、短歌、和歌と詳しくない私にはやや難しい本だったが子規、最後の八年の苦痛だけは嫌と言うほど伝わってきた。 願わくば、あと数年の寿命を与えて上げたかったと心から思う。2015/11/02

てくてく

4
資料解説のような感じで私には読みづらく、年末から途切れ途切れに読んでようやく読了。『坂の上の雲』っぽいなと思っていたがそれは解説で納得した。ポジティブで活動的な明治期の子規が、体が動かなくなっても貪欲に歴史に名を残すこと、仕事、話すこと、そして何よりも食にこだわった感じがよくわかる。ただし、私は妹の律さんに立ってしまうので、なんというか、家族を平気で犠牲にした功名心みたいなものが心地悪かった。2023/02/05

よし

4
一気読みだった。以前 伊集院靜の「ノボさん」を読み、感激したが、再び熱い心で満たされた。「子規、最後の八年」は、病苦との壮絶な闘いの日々であった。漱石との手紙のやりとりはすごい。「僕はもうだめになってしまった。毎日訳もなく号泣しているような次第だ、・・」「倫敦にて子規の訃を聞きて・・手向くべき線香もなくて暮れの秋(漱石)」病床六尺での悲痛な叫び。「誰かこの苦を助けてくれるものはあるまいか・。」子規の介護に献身的にあたった妹・律。臨終の時辞世三句。母八重の「さあ、もう一遍痛いというてお見」言葉も哀しすぎる。2019/01/09

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