講談社学術文庫<br> 西洋中世奇譚集成 聖パトリックの煉獄

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講談社学術文庫
西洋中世奇譚集成 聖パトリックの煉獄

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  • サイズ 文庫判/ページ数 238p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062919944
  • NDC分類 388.3
  • Cコード C0122

内容説明

12世紀、ヨーロッパを席巻した冥界巡り譚「聖パトリキウスの煉獄」「トゥヌクダルスの幻視」を収録。二人の騎士は臨死体験を通して、異界を訪問する。無数の悪霊の襲来から始まり、灼熱、悪臭、寒冷、虫、蛇、猛獣が跋扈する煉獄で、執拗な拷問と懲罰を受けた後、甘美にして至福の天国を見学し、現世へと帰還する。中世人の死生観を熟読玩味する。

目次

第1部 トゥヌクダルスの幻視―マルクス(ラテン語ヴァージョン)
第2部 聖パトリキウスの煉獄譚―ヘンリクス(ラテン語ヴァージョン)

著者等紹介

千葉敏之[チバトシユキ]
1967年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授。専門は、ドイツ、ヨーロッパ中世史(西洋中世史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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syaori

59
12世紀中葉のアイルランドで取材された冥界巡り『トゥヌクダルスの幻視』と『聖パトリキウスの煉獄譚』を収録。解説でも少し触れていますが、12世紀は、人口増加、商工業の興隆など社会が安定・発展していく時代で、経済の発展に伴い蓄財や土地の所有などが重要視される風潮に対し教会の理想を実生活に適合させる方法が模索されていた時代。両冥界行でも現世での喜捨や過度の享楽の禁止の重要性を何度も説いていて、そのような時代の背景に思いを馳せました。描写や進行が様式的になっているように感じた『煉獄譚』よりも『幻視』のほうが好き。2021/10/07

ホームズ

17
キリスト教の臨死体験。神様を信じないと地獄に落ちて大変だぞって言うことなんだろうな~。まあ死後の世界のに関する想像力は凄いな~。2012/11/03

uni

6
12世紀ヨーロッパの地獄冥界譚。宗教的な教訓ばかりで成り立ってる構成。煉獄からの地獄巡りの天国へと。あくまでも臨死体験なので最後は蘇生してこれまでの罪を悔い改め全うに生きていく仕上がり。次々に出てくる拷問ステージは確かに身も震えるほどの恐怖ですが、天国の描写はこんなもんかぐらいでした。そして何故か天使が地獄の拷問をツアーしてて少し違和感でした(笑)2013/09/26

刳森伸一

5
『トゥヌクダルスの幻視』と『聖パトリキウスの煉獄譚』の2篇を所収。前者は地獄と天国、後者は煉獄を主に巡る。煉獄の責め苦が酷くほぼ地獄のようだったのが印象的。2017/10/06

misui

4
これらの地獄下り譚はまずなによりも教会道徳や権力の宣伝文書であって、本書第二部『聖パトリキウスの煉獄譚』は実在の「煉獄」施設への巡礼の手引きにもなったという。「信仰と権力が不可分の西洋中世文明にあって、死を思想、あるいは信仰実践として、いかに管理し得るかという問題は、生者の管理以上に重要な統治上の課題であった。」2018/12/06

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