内容説明
遠い日、夜の砂丘で青年の目を射た流星の一条の光―遙か西域への憧れを胚胎した井上文学誕生の瞬間を描く「砂丘と私」始め、『天平の甍』『敦煌』『風涛』など歴史小説の名作を点綴、その発想の源泉と想像力を刺激してやまぬ歴史の魅力を語る。『蒼き狼』をめぐり大岡昇平と闘わせた論争への真摯な反論、八〇歳の作家を駆り立てた『孔子』への情熱―など、井上靖の凛とした詩魂がほとばしる歴史随筆二四篇。
目次
1(砂丘と私;安閑天皇の玉碗;戦国時代の女性 ほか)
2(私の敦煌資料;西域のイメージ;敦煌と私 ほか)
3(大和朝廷の故地を訪ねて;「後白河院」の周囲;枯れかじけて寒き ほか)
著者等紹介
井上靖[イノウエヤスシ]
1907・5・6~1991・1・29。小説家。北海道旭川で生まれる。幼年期を伊豆湯ヶ島で過す。京都帝国大学文学部卒。20代から詩作を始め、同人詩誌『聖餐』を主宰する一方、懸賞小説に応募。1936年、大阪毎日新聞社に入社。50年、「闘牛」により芥川賞を受賞、本格的に作家活動に入る。51年、毎日新聞社を退社、記者生活に終止符を打つ。著書に『氷壁』(日本芸術院賞)、『敦煌』『楼蘭』(二作により毎日芸術大賞)、『淀どの日記』『孔子』(共に野間文芸賞)、『おろしや国酔夢譚』『本覚坊遺文』(共に日本文学大賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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