内容説明
知的早熟児たちが集った夏期講習キャンプに現れた「狙撃手」。僕たちは次なるスナイプの現場を押さえるべく監視を始めた―「メロウ」など、現実とレプリカのあわいに立ち上がる圧倒的なストーリー世界が心を捉えて離さない。あらゆるジャンルを超えて疾走する作家が綴った唯一の「ストレートな」短篇集。
著者等紹介
古川日出男[フルカワヒデオ]
1966年、福島県生まれ。早稲田大学第一文学部中退。編集プロダクション勤務等の後、’98年に『13』で作家デビュー。2002年に『アラビアの夜の種族』で、第55回日本推理作家協会賞および第23回日本SF大賞を、’06年に『LOVE』で第19回三島由紀夫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hit4papa
45
あぁ、まさに古川日出男だな、という短編集。たたみ込むような語り口、突然始まるウソ話を現実におりこんでいく展開。読了直後は???となりますが、後からジワジワ良い感じです。著者の作品は、あわない読者は一定数いると思いますが、ハマれば再読したくなるような中毒性があります。幸福な家庭のただならぬ出来事「お前のことは忘れていないよバッハ」、幽体離脱した高校生が訪れた三人のクラスメート「ストリートライター、ストリートダンサー、ストリートファイター」、夏期講習キャンプ中の少年たちの戦闘「メロウ」がベストスリーです。2018/08/16
さっとる◎
40
昔そこは海だった。まるきりの海。こんな土地はなかった。張りぼてだらけインチキレプリカのこの世界に古川日出男が爆弾を投下する。100%の物語を。一軒家を世界に変えて冒険に出る。傷ついても闘える。音楽とダンスと物語が武器だ。人生は闘いだ。封鎖され閉ざされたレプリカの世界で、出られなくても物語を武器にサヴァイブする。橋を制覇して、バケーション(V)とトラベル(T)を等号で結んで。歌える鳥の末裔が、欠けた音楽を奏でて。明日にでも死んでしまうみたいに猛烈に速い僕たちが、解き放たれて。最高にクール、大好きだ日出男。2016/11/24
里馬
17
素晴らしい作家の傑作とは新作だ、と何処かで誰かが書いていた。まだまだ古川日出男の作品は読み始めた所だが、大当たりばかりで怖い。少しは彼の外れも読みたい。彼が映画『ミザリー』の様になったら、看護師役は僕かも知れません。。。。2010/07/17
秋良
12
全然音楽の話じゃないのに、ドラッグもセックスも無いのに、なぜかこの人の作品はロックだと思う。何でだろ?そのロックな感じと十代のひりひりする感じがマッチする「バッハ」と「ストーリー〜」がよかった。あとは地元なので「カノン」!2017/10/30
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11
これは短編なのか?色んなジャンルが集約されているようで、説明し難い一つのジャンルのような印象を受ける。これは凄いな。2017/02/18