内容説明
人の弱みにこそ勝機あり。理念無き利益操作が支える「危ない株」も、村おこしとは名ばかりの錬金術も、途上国へのハイリスク融資も、経済の闇に蠢く魑魅魍魎にとっては宝の山だ。金融界のまっとうな道を踏み外した男たちのカネへの執念が生んだ熱い物語。国際経済小説の旗手が切り開いた新境地、全４篇。
著者等紹介
黒木亮［クロキリョウ］
１９５７年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒業、カイロ・アメリカン大学大学院修士（中東研究科）。都市銀行、証券会社、総合商社に２３年あまり勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、航空機ファイナンス、貿易金融など数多くの案件を手がける。２０００年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた『トップ・レフト』でデビュー（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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まつうら
55
「ザ・コストカッター」や「排出権商人」で活躍したパンゲア北川の活躍の原点が見られると思い手に取ったが、短編4篇のうち北川が登場するのは最初の1篇だけだった。ちょっと残念に思ったものの、最後の「再生屋」に興味がひかれた。ホテル再建の物語で、真山仁「ハゲタカ」のミカドホテルを思い出す。ミカドホテルのモデルとなった日光金谷ホテルと比肩する、別府の杉乃井ホテルがモデルになっているのも興味深い。北海道出身の著者らしく、最後は加森公人と思しき丸尾重人が再建を引き受けるのも好印象。道産子にはちょっとうれしい作品だ。2023/07/05
B-Beat
40
◎図書館でふと手に取った既登録の黒木亮作品、面白かった。「カラ売り屋」「村おこし屋」「エマージング屋」「再生屋」という資本主義社会が生んだ申し子というか資本主義の道端に咲いた徒花というか、そんな男達の普段窺い知れないようなエピソードが4編。短編集ながらも国際金融の檜舞台で活躍した経歴の持ち主である黒木さんらしく、描写は緻密でリアル感を伴って説得力は十分。結末はどれも余韻があって捨て置くことはできない読後感。著者の黒木亮さん、池井戸さんと似た経歴ながら、もう少し読まれてもいい作家のように思えてならない。2015/04/01
baboocon
26
「ハゲタカ」を彷彿とさせる経済小説。「カラ売り屋」「村おこし屋」「エマージング屋」「再生屋」の4つの短編集。「カラ売り屋」はちょっとありえないだろ（笑）というスレスレの潜入劇があったけれど徹底的にターゲットを調査して「腐った企業を売り叩く！」。エマージング屋は誰も注目していない時期に新興国にビジネスの種を見つけ内部の横槍も乗り越えディールを成功に導いていく姿が痛快。「村おこし屋」「再生屋」は国内のストーリーだが、特に民事再生法を申請したホテルを巡るスポンサー探しに苦慮する弁護士の苦労がリアルだった。2013/03/10
シュラフ
17
『カラ売り屋』『村おこし屋』『エマージング屋』『再生屋』の4つの短編収録。世の中で話にはよく聞くのだが、日常の中で会うこともなく 実際にはどういう人たちなのか分からない正体不明の人たちが主人公。さすがは元銀行員の黒木亮さん、こういう正体不明の人たちを生々しく描いている。外から見ると華々しく見えるロンドンのシティで働く日本の銀行マンたちも、実は協調団にツテを持つだけの無能な英国人に頼らざるをえず、高給を支払わされているといった実態が分かる。それぞれの短編とも、男たちの生き様が垣間見えるようで味わい深い。2014/04/06
nori
8
Each story are interested for me. However, developments are straight and endings are easy to predict. Maybe author considered for volumes for magazine but I wonder why he selected such heavy topics. I hope to read his long version of novels.2017/03/16
