講談社文庫<br> 夏の吐息

電子版価格
¥638
  • 電書あり
  • ポイントキャンペーン

講談社文庫
夏の吐息

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 291p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062760706
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

人生の喜びも悲しみも知り尽くし、豊饒の時を迎えようとする女たちが織りなす、極上の物語世界。大人のための小説集。「この6編を超える作品は、もう書けないかもしれません。」――小池真理子

永遠に待ち続けると思うのです。世界のどこに行っても、地の果てにいても、私はあなたを待っている。――6年前、突如行方が分からなくなった恋人を待つ女性のモノローグからなる表題作他、濃厚な死の影の間近で紡がれる詩情。著者自ら「この六編を超える作品はもう書けないかもしれない」と語る傑作短編集。

秘めごと
月の光
パロール
夏の吐息
上海にて
春爛漫


小池 真理子[コイケ マリコ]
著・文・その他

内容説明

永遠に待ち続けると思うのです。世界のどこに行っても、地の果てにいても、私はあなたを待っている。―六年前、突如行方が分からなくなった恋人を待つ女性のモノローグからなる表題作他、濃厚な死の影の間近で紡がれる詩情。

著者等紹介

小池真理子[コイケマリコ]
1952年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。’89年『妻の女友達』(集英社文庫)で第42回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。’96年『恋』(ハヤカワ文庫・新潮文庫)で第114回直木賞受賞。’98年『欲望』(新潮文庫)で第5回島清恋愛文学賞受賞。’06年『虹の彼方』(毎日新聞社)で第19回柴田錬三郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

🐾Yoko Omoto🐾

142
酸いも甘いも噛み分けた大人の女たちの物語6編。彼女らは、現在の自分に確固たる不満があるわけではない。だが、過去の甘美な恋愛や、背徳に満ちた秘め事を振り返らずにいられない、そんな年齢だ。その姿は、狂おしいほどの情熱の中にもう身を置くことはないという、どこか寂寥とした雰囲気を漂わせてもいる。忘れえぬ出会いや別れを、懐かしい痛みとともに胸に秘めながら、剥き出しとは対極にある穏やかな熱を持つ彼女たち。男女の営みを介さずとも、精神的な繋がりを持つ関係性に共感できるのは、自分もそれなりに年を重ねたからだと実感した。2016/08/19

じいじ

98
小池さんは、長編はもちろん短篇の名手だと思っています。『ソナチネ』『妻の女友達』は、再読したい傑作短篇集です。さて、今作の6短篇、どれも味わい深い小池さんらしい作品です。表題作は突然いなくなった夫に、淡々と妻が語り掛ける文体が面白い。ただ内容的には、妻の切なさだけは伝わってくるが、夫に共感できないのが残念。私は心に浸みる【秘めごと】が好きです。主人公・美年子(54歳・独身)に魅かれました。静かに待っていた、亡き親友の夫からの告白のひと言「明日の元日を、あなたと一緒に過ごしてみたくなりました」…。2019/08/22

ミカママ

90
表題作だけど、妊娠した彼女をほうって失踪した男を6年も待ち続けるお話。男性からしたら美談なの?いや鬱陶しいんじゃないかなぁ。私的には100%あり得ませんね。『パロール』がピカイチ。父親ほど年の離れた男性との交情。(手をつなぐだけ)「肉体的な欲望をもって、精神的な愛情ももって、そこに言葉が欲しい」まさに理想、ですな。 2015/04/03

アッシュ姉

76
小池さんが贈る大人の恋愛短編集。カラッとした女とそうでない女が主人公の六編なので好みは分かれる。もう恋に煩わされることもなく達観している「秘めごと」の主人公が好きでした。早くあの境地まで到達したいものです。親子ほど歳の離れた男性との交流「パロール」、幼馴染との友愛「春爛漫」は、なぜだか分からないけど泣けてきました。六年前に失踪した恋人を永遠に待ち続けるという「夏の吐息」には全く共感できず、「夏の溜息」なんじゃないかと思う始末。私まだまだのようです。十年後に再読して違った感想が持てるように成長したい。2016/07/11

mii22.

46
私もこういったお話が染み入ると言うか馴染むような歳になったんだなぁと思った。いわゆる大人の女性の心情が過去の恋愛を振り返るようにまた懐かしむようにしっとりと描かれている短編集だが、共感できるものもあれば、そうでないものもある。しかしどれも心くすぐられたり、ほろ苦く感じたり自分の体験とはほど遠い出来事なのに妙に身近に感じてしまう。特に「秘めごと」には入りこんだなぁ。小池さんの文章は隙がなく洗練されていて、こういった大人の物語に実によく合う。もちろん心理サスペンスものも大好物ですが。2016/09/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/557045
  • ご注意事項