出版社内容情報
取材20数カ国!向き合うべき原子力の脅威世界に点在する放射能被害の実像、根深い核テロへの懸念を暴き、人類の脱原子力、または原子力との共生への道を探る渾身ルポ!世界中の取材班が追った核最前線。
内容説明
「核なき世界の平和と安全」に立ちはだかる「障壁」を20か国取材のルポ&写真で綴る。
目次
第1章 「第二次核時代」に揺れる地球
第2章 放置されるヒバクシャたち
第3章 「原子力ルネサンス」の底流
第4章 戦慄の核セキュリティー
第5章 核の結節点―「闇市場」と被爆国
第6章 NPT(核拡散防止条約)揺さぶる懸念国
第7章 押せないボタン―ホワイトハウス黙示録
第8章 「核の傘」の源流を追う
第9章 「核なき世界」への胎動
第10章 核廃絶への道程
著者等紹介
太田昌克[オオタマサカツ]
1968年生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、政策研究大学院大学博士課程修了、博士(政策研究)。1992年、共同通信社入社。広島支局、外信部、政治部などを経て、2003年より2007年まで、同社ワシントン特派員。核密約問題など日米関係の裏面史を掘り下げた取材活動により2006年度ボーン・上田記念国際記者賞、第15回平和・協同ジャーナリスト基金賞(2009年)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
279
本書は核兵器、あるいは原発といった核をめぐる問題を、個々にではなく包括的に考えようとする試みである。中心は、あくまでも核兵器にあるが、原発やプルトニウム、さらには一見したところでは核とは関係がなさそうな電子顕微鏡などを含めて考察している。筆者のスタンスは、自身の考え方を主張するのではなく、あくまでも事実関係を可能な限り客観的に伝え、読者に判断をゆだねるというもの。なお、著者は共同通信の編集委員をつとめるジャーナリスト。篇中で、最も危機感を感じるのは、失うもののないテロリストによる核の奪取、使用だ。2016/03/22
AICHAN
24
図書館本。「パキスタンの“核開発の父”A・Q・カーン博士が核開発に必要な資機材を調達する目的で1970年代から日本企業と取り引きを秘密裏に重ねていた」という衝撃的な事実から綴られる。「“核実験犠牲者の命が米国の核攻撃で犠牲になる可能性があった数百万人の命を救った”という核実験を正当化する冷戦の論理が今も核科学者の思考様式を支配している」。人類はどこまで愚かなのか。パワーゲームなどは子供の遊びではないか。そして核はテロリストに利用されるというさらに恐ろしい危機をはらむ。それでも原発を含めた核を持つのは狂気だ2016/06/07
Naota_t
2
★3.2 発行が2011年7月なので、3.11に託けて急いで執筆したのかと思っていたら、2年がかり執筆活動の途中に3.11が起こったという。著者は共同通信社特派員である。本書では、メッセージ性が薄く、事実の羅列が多い印象だった(速報性の高い共同通信社だからだろうか?)。最近は、コロナの話ばかりで原子力の話は埋もれているのか、あまり聞かなくなった。米中対立は激化するばかり、バイデン大統領は、オバマ元・大統領と違って原子力政策に注力している。また、サステナビリティの観点からも、原子力議論が近く起こりそうだ。2021/12/11
ぽんくまそ
2
3年目の3.11を迎えるにあたり、原爆情勢ごと原発情勢を知る必要を思い、読んだ。知らなかったことを、いろいろ知った。しかし、肝心の、なぜ権力は、敵国ではなくもっぱら自国民や同盟国の市民を病魔の犠牲にし、己の子々孫々や国家に万年単位の負担をおしつけながらも、原爆をもちたがるのかという謎は、残ったままである。2014/03/10
ず
2
平和利用じゃないほうの核のはなし。わりとちょくちょく持ち込まれてた様子。沖縄とかに。2011/11/05