内容説明
インド洋上で原油を満載したマンモスタンカーが炎上沈没した。船長以下六名が脱出、残り二六名の生死、原因は不明のまゝ捜索は打ち切られた。だが、その船長が怪死し、十津川のもとに一通の挑戦状が届く。そして捜査の裏をかくように生存する乗組員が次々に殺されていった。十津川、敗北か?傑作長編推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばりぼー
52
インド洋上で原油を満載した全長379m、重量50万トンのタンカーが炎上沈没、32名の乗組員のうち船長以下6名が救助されるが、その生存者達はその後次々に殺されていく。残りの26名は見殺しにされたのではないか?これはその復讐か?と思わせておいて、ラスト100ページのスリリングな謎解きがスケール壮大でナイス!船を消すなら沈めればいいという単純な話ではありません。こういうサスペンスフルな活劇は、余計な穿鑿などせずに没入するに限りますね。十津川警部補も風邪で洟ばかりかんでますが、切れる「タヌキ」ぶりが実に魅力的。2015/01/22
セウテス
41
インド洋で炎上、沈没したタンカーから、生還した数名の船員が、次々と殺されてゆきます。たった一発の弾丸で仕止めている事から、凄腕のスナイパーに的が絞られます。警部補時代の十津川が捜査に当たるのですが、犯人は彼らの手を掻い潜り、犯行をし続けます。全く姿形の掴めない犯人に、十津川たちは振り回されます。そしてこの作品の特徴は、犯人が逮捕され事件解決と思われた処から、スピードアップする新しい展開にあります。長野から南アフリカ迄、スケールの大きなミステリーを楽しむ事が出き、西村氏初期の本格ものを味わえる作品でした。2014/08/02
やまだん
9
数ある西村京太郎の作品の中で「隠れた名作」として押されている作品。43年前の作品であり,今読むとリアリティは感じられない。犯行の動機,方法など,今読むともはやバカミスだと感じられてしまった。もっとも,バカミスだから面白くないわけではない。前半部分は,今とは少しキャラクターに違いはあるが,十津川警部を中心とした警察と犯人の対決が描かれる。そして,終盤は,それまでの前提を破壊するダイナミックな推理をし,その推理を裏付けるための捜査をする。傑作とまでは言えないが,ダイナミックな展開を楽しめた(60点)。2018/01/22
ソルト佐藤
6
スケールでか。世界を股にかける十津川警部!展開もスピーディ。面白い。前半の実行犯と十津川警部の戦いは、どちらも十分に頭をつかった戦いで良い。ただ、ちょっと90年代の国内冒険小説にくらべるとディテールが薄い気もするけど、代わりに、本当に展開早い。ここち良いくらい。本格としてのタイトルの謎は、後半も後半になってやっと本題になるのがちょっと残念かも。ただ、なかなか考えられて良い。2017/05/02
iwaken
5
★★★★☆2017/08/05