内容説明
ここに登場のおとぎ話は昔知ったものと大違い。シンデレラは度外れた美貌と頭脳でママ母を辟易させる野心家。浦島太郎はただ若いだけの無神経な男。赤ずきんの真実は驚きです。「おとぎ話は心の傷」という著者が試みた、26篇の絵入りパロディは、ウソと思いつつホントと頷く、おかしくて怖い現代の寓話です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
120
佐野洋子さんによる日本や世界のおとぎ話を大人の鑑賞用に変えてしまった楽しい話が満載です。挿絵もご本人によるものでなんかシャガールのようなイメージがあります。読んだ後に結構考えさせるような話もあってショートショートの一種だという気がしました。2018/06/15
chimako
96
洋子さんの描く女の人は大股開きが得意である。そのほとんどが小太りで素っ裸ときてる。子どももおじさんもおじいさんもチン○ンぶら下げて平気。花咲かじいさんに至っては胸毛もワキ毛も脛毛も見せびらかして踊りちらかしている。そんな挿絵の26話。シュールで残酷でちょっと可愛らしくて諦めが漂う。マッチ売りの少女の嘘はさもありなんと思わせ、白雪姫の美しさは見た目ではわからないと言われハッとする。タヌキにお婆さんを殺されたお爺さんは被害者なのに傷つけられる事件を見ているようだった。こういう嘘話を読むのは大人の特権です。2016/06/14
ヒラP@ehon.gohon
35
26編の昔話のパロディ。エグいと言うか深いと言うか、短編で終わるのがもったいないような力作(?)揃いです。絵本作家がこんなん書くかと思いましたが、絵本を知っているからこその作品集かも知れません。2021/03/25
ひろ
19
日本の昔話から西洋の童話まで、子どもの頃に読んだことのある有名な話を26篇とり上げ、大人な味付けで再構成した作品集。本来は主人公が幸せになって終わるところを、脇役からの視点を存分に取り入れている。結果、俗っぽくも読者の感覚に近い話となっていて面白い。そこはかとなく漂う官能性がいい。一部知らない話もあったが、単体でも楽しめた。さらりと読了。2020/09/04
えみさん13
18
【この本のために、私は二十六編のパロディを書いた。大変積極的に、ずんずん書いてしまった。面白がって自然に書けてしまった。】【何百年も生き残ったおとぎばなしは、心の傷であったということが、大人になった私によくわかる】(あとがきより)おとぎばなしは「心の傷」という佐野さん。シンデレラは見方を変えると美貌と頭脳で、継母を辟易させる野心家…?私は「こぶとりじいさん」と「赤ずきん」に愛の姿を観たよ。面白かった。大人のための、おとぎ話です。2014/02/03