内容説明
驕慢な子爵令嬢、彼が倒した柔術師範の遺児、数奇な生い立ちの娘義太夫の花形、鳶の頭の勝気な娘。彼女たちのひたすらな思慕にも、柔道一筋の三四郎の心が乱されることはなかったが、嫉妬と敵意の渦は否応なく彼を巻きこんでいく。そして、最後の強敵の登場。必殺技山嵐は炸裂するか。柔道の黎明期に燦然と輝やく天才児の多感な青春を、迫真の決闘描写をまじえて描いた感動の名作、堂々完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆーいちろー
1
絶えず敵と戦う格闘物語の一つの宿命として、相手の強さのインフレ現象があるが、この物語でもその特徴は現れている。遂にはほとんど人外の化け物とも言えるような敵まで登場してしまうし…思えば最初の強敵桧垣源之助が三四郎との死闘を経て最大の理解者となるなど、少年マンガの王道のエッセンスが本作品にはすでに見て取れる。しかし、三四郎はもはや積極的に戦うことをしない。そういう意味では活劇的に少々物足りないと言えなくもない。悲劇的でもあり、またあまりにも初心すぎるとさえ言えるこの物語の結末だが、こういう苦さは好き。2013/09/20