出版社内容情報
渡辺 恒夫[ワタナベ ツネオ]
著・文・その他
内容説明
夢を現実の偽装や幻想としてその解釈・説明をめざすのではなく、体験として、一つの世界として、探求すること。ここに、現象学は本質への遡行を捨て、体験現象そのものの観察実行を宣言する。現実が「世界」なら、夢もまた「世界」である。それぞれに「世界」を成り立たせている構造原理とは何か?夢の中には未来も過去もない、他者にもなれる。夢の実例に即し、その構造を明らかにするための「技法」を紹介。
目次
第1部 入門・初級篇(夢世界の基本的体験構造;誰でも分かる現象学(1)―志向性から見えてくる夢世界の原理
タイム・トラベルとしての夢、互いにつながり合った夢
別の時空に誰かとして生きている夢、入れ子構造の夢
自分が二人いる夢)
第2部 中級篇(誰でも分かる現象学(2)―フッサール現象学の基本方法
ゲーテの夢、大学生の夢、マッハの自画像―夢の第三者視点の謎
女子学生がカツオになり次に父親になる―他者変身の夢の謎)
第3部 応用篇(誰でも分かる現象学(3)―現象学と「他者」の問題
なぜ夢では他の誰かに変身できるのか―現象学的解明
夏目漱石『夢十夜』の現象学的分析・覚書)
著者等紹介
渡辺恒夫[ワタナベツネオ]
1946年生まれ。京都大学文学部で哲学を、同大学院文学研究科で心理学を専攻。博士(学術)。東邦大学名誉教授、明治大学兼任講師。専門は心理学・科学基礎論・現象学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小木ハム
5
夢の内容を解釈するのではなく構造を分類する内容だった。自分には難しかった。自分視点、実在の他者視点、架空の他者視点、自分を見ている視点とシームレスに移り変わるのに違和感なく体験?鑑賞?してる私たち。知らない他人の記憶、実際にあったように感じる記憶。面識のない人が旧知の友だったり。夢の現象学は未開の領域である。『何の役に立つのか』と問われると身も蓋もないけれど、役に立つ事しか許容しない世の中なんてしょうもない。客観的に相対的にいる事を強要される今世で、夢は主観に立ち返るリセットボタンなんじゃなかろうか。2018/10/17
スプリント
4
夢を題材にした現象学の入門書です。入門書と銘打たれていますが少々難解でした。フッサールについて少し調べてみようと思います。2016/09/03
パン
3
精神分析やらずして現象学はできるのか2023/09/19
V
3
夢占いや、精神分析、脳科学、、夢について考える視点の現状に、夢の現象学というとてもおもしろい視点を、他の視点と両立しうるものとして提示する。 「夢においては、二重構造が一重になってしまう」これは多くの夢にあてはまる法則で、とてもおもしろい発見だと思う。 夢の存在論はまだ語れないだろう。私はしばらく夢に好奇心を奪われ続けるだろうが、まずは夢の現象学から始めていきたい。 夢の現象学は人類学的に言えば、夢に《参与》して、夢世界をseriously takingするようなフィールドワークだと思う。2018/06/28
とり
1
感銘を受けて他著も読みそう+夢日記つけ始めた2017/04/16