出版社内容情報
第52回江戸川乱歩賞受賞作。
終戦直後、シベリアで起きた日本人将校斬首事件と、現代日本でのロシア人女性事件。60年を隔てた情念の炎が二つの事件の真実を照らし出す。
男は帰還(ダモイ)を果たし、全てを知った。極限の凍土・シベリア捕虜収容所で起きた中尉斬首事件。60年間の沈黙を自らに強いた男が突如、姿を消した――。風化する歴史の記憶を照射し、日本人の魂を揺さぶる感動作!
内容説明
男は帰還を果たし、全てを知った。極限の凍土・シベリア捕虜収容所で起きた中尉斬首事件。60年間の沈黙を自らに強いた男が突如、姿を消した―。第52回江戸川乱歩賞受賞作。
著者等紹介
鏑木蓮[カブラギレン]
1961年、京都市生まれ。佛教大学文学部国文学科卒業。塾講師、教材出版社、広告代理店などを経て、1992年、コピーライターとして独立する。2004年、第一回立教・池袋ふくろう文芸賞を、短編ミステリー「黒い鶴」で受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
82
デビュー作。シベリア抑留がテーマで考えさせられることがあった。2014/02/08
紫 綺
62
今年1月に亡くなった鏑木 蓮さんを偲んで。第52回江戸川乱歩賞を受賞した傑作長編!極限の凍土・シベリア捕虜収容所で起きた中尉斬首事件。60年間の時を経て現代とを繋ぐ本格ミステリー。2023/03/21
みえ
60
シベリア捕虜収容所の話は、山崎豊子さんの小説で昔読んだけど、この本もグッときてしまう。 そこに推理的な話が入ってくるので、止められないくらいの面白さがあった。いい本だった。2018/04/19
いつでも母さん
60
こちらで知った本、久々の鏑木蓮。シベリア抑留・・84歳で亡くなった実家の父もシベリア抑留者だった。祖父は舞鶴港まで迎えに行ったと聞いている。生前『画文集シベリア抑留』を見せた事があるのだが多くは語らなかったが、この本(もちろん小説なのだが)を読み始めると、なんだか解るような気がした。父が帰還したから私が在る!鏑木さんの小説家デビュー作とか。突っ込みどころは多々あるものの、面白く一気に読了。槙野のやる気(成長か)に同化していた私、俳号由来の広東省のジャンケンが良い!『逝きてなほ 東京ダモイ 彼岸かな』合掌2015/06/07
aqua_33
58
江戸川乱歩賞受賞作。シベリア抑留中に中尉が謎の死を遂げた。あれから60年、かつてシベリアに抑留されていた高津から自費出版会社へ「句集を出したい」との依頼を受け、槙野が対応する。そんな折、舞鶴の港でロシア人女性の変死体が発見され、高津も行方不明となってしまった。高津の残した句集を読み解き、2つの事件の真相に迫る警察と出版社。犯人は予想はしていたけど胸が痛む。戦争がなければこんな悲劇も起きなかったと思うと悲しくてやりきれない。《2017年138冊目》2017/07/09