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高瀬川

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  • サイズ B6判/ページ数 221p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062117555
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

小説家と女性ファッション誌編集者が京都のラヴホテルで過ごす一夜を描き、現代の性という主題に対峙する「高瀬川」。物心つく前に亡くした実母の面影を恋う少年と、不如意な暮らしの中で不倫を続ける30代女性の物語が、上段と下段で並列的に進行し、やがて一つに交差・交錯する「氷塊」。短篇意欲作「清水」、「追憶」を併せ、多様にして実験的手法で文学の豊饒な可能性を開示する、気鋭作家の新たな冒険。

著者等紹介

平野啓一郎[ヒラノケイイチロウ]
1975年、愛知県生まれ。京都大学法学部卒業。1998年、大学在学中に文芸誌「新潮」に投稿した作品『日蝕』が巻頭掲載され、話題を呼ぶ。翌99年、同作により第120回芥川賞を史上最年少で受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

167
それぞれにスタイルの異なった4つの作品を収録(うち1篇は詩)。というよりは、勢いのある平野作品を寄せ集めて1冊にしたという感も否めない。表題作は、作家本人を思わせるような主人公の大野と、雑誌ライターの裕美子との交歓を描く。作品の全体が、二人の一夜のセックスで占められるといっても過言ではない。しかし、かといって猥褻感はない。むしろ、虚無に近い感覚が残影をなすといった小説。また、2段組みに仕立てた「氷塊」は、上段と下段がそれぞれ独自に進行し、最後にはそれが見事に交錯する実験的な作品。他にはあまり類を見ない。2015/01/05

遥かなる想い

84
平野啓一郎が描く物語は正直難解で,理解できないという先入観が強かったが、本書は平易な文章になっている。だが、その内容は、小説家と編集者が京都のラブホテルで過ごす性愛である。書評によると、現代の愛を正面から 描いているらしいが、性愛の描写が多く、読後感はよくない。著者の挑戦の一つらしいが、小説家としてどこに向かおうとしているのだろう・・凡人には理解ができないのかもしれない。

巨峰

43
作者が20代後半の頃の作品と読後に知ってなるほど!と納得した。「高瀬川」結構好きだなぁ。エロ小説の範疇ではあるもののそれだけではない価値がある。「氷塊」はとにかくスリリングで読んでいて楽しめた。この手法って、書く方は大変だけど、上手くいけばすごく効果あると思う。まぁ、再度この手法で小説を書いたことがあるかはしらないのだけど。「文学の現代美術化」みたいな挑戦な表現でこの小説集を括ってみたい。2024/02/16

青蓮

21
実験的な要素を含む4編収録。「清水」は読んでいて太陽の冷たい光が粉々になって降り注ぐイメージを抱いた。「追憶」はページを捲る度に何が書かれているのかドキドキしながら読んだ。数ページ続く欠落した文章は記憶そのものを表しているよう。ラストで明かされる詩的な文章は美しい。「氷塊」が本書の白眉だと思う。上段は少年の視点で、下段は女性の視点で描かれる物語で、全くの誤解や思い込みから接点のないはずの二人が結びつけられ、そして別れていく。表題作の「高瀬川」はエロティック。ラストのおちは作者のユーモアなのかな。2014/07/25

おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ

17
抽象画のように活字を並べるこの人の才能に腹が立った。どんな奴かと思って検索したら顔がデカかったので何となく安心した。芥川賞作家なのに表題作が官能小説ばりにどエロくて気に入った。愛人が履いたパンティーを入れたペットボトルを川に流すとは官能的すぎて下半身が硬直した。しかし嫁があまりに美人で何だか再び腹が立った。作家たるものがモデルとセックスするとはなんたる堕落!というか羨ましすぎる。幸せそうに寄り添うツーショットをネットで発見して殺意を覚えたが、髪型がノンスタイルの井上みたいで不憫だったから許した。2014/10/02

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