崩れ

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  • サイズ A5判/ページ数 165p/高さ 22X16cm
  • 商品コード 9784062055604
  • NDC分類 916
  • Cコード C0093

出版社内容情報

【内容紹介】
緑豊かな自然のなかで山が崩れ、河が荒れる。崩れ
その風景はなんと切なく胸に迫るものか。生あるものの哀しみを見つめる最後の長篇

この崩れこの荒れは、いつかわが山河になっている。わが、というのは私のという心でもあり、いつのまにかわが棲む国土といった思いにもつながってきている。こんなことは今迄にないことだ。私は自分がどんなに小さく生き、狭く暮してきたか、そしてその小さく狭い故に、どうかこうか、いま老境にたどりつけたと、よくよく承知している。──本文より

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mami

8
「崩れ」とは山体崩壊のこと。72歳の幸田文さんは各地の崩れを見て回り、そこに暮らしてきた方たちを思いなおかつ自身の老いと崩れを重ねる。しかし上品な方とは文章からもにじみ出るのだなぁと感嘆。2021/11/26

はるわか

8
なんと日本中には崩壊山地が多いこと。日本三大崩れ:大谷崩れ、鳶崩れ、稗田山崩れ。富士山大沢崩れ。大谷崩れ:安倍川、1528年崩落、1702年大地震。由比と大崩海岸:静岡。松之山地滑り:新潟県東頸城郡。日光男体山:大薙・観音薙。立山・鳶山崩れ:常願寺川、砂防のメッカ、1858(安政5)年大鳶山小鳶山の二山大崩壊。稗田山崩壊:長野県小谷村、浦川姫川、1911年大土石流。桜島:段波。有珠山:昭和新山。2015/06/18

いつかはビーエム

5
昨年立山の鳶崩れ、今年小谷村の稗田山大崩落後を見る機会があり自然の猛威を目の当たりにした。若い頃には気にも止めなかった事が還暦を過ぎて何故か気になり出す❗自然災害は避けられないが、自然観察を通して自身への啓蒙や気付きが生まれる事に期待したいのだ。 幸田文が晩年に日本各地の崩壊現場、火山現場を訪れ人々に何を語ったのだろう。そんな事を思いながら読み終えました。2019/06/04

amanon

3
本当は自分達と無縁ではないはずなのに、つい見過ごしてしまいがちな「崩れ」という現象。古希を過ぎて、様々な地方における自ら崩れと呼ぶ自然災害の現場へと果敢に足を踏み入れる著者。ただの野次馬と言えばそれまでかもしれないが、その想像を絶するような光景に向ける眼差しと、機微に富んだその描写からは、著者の深い思いが伝わって来る。報道からだけでは伝わってこない、自然の威力の凄まじさ、現場の人々の姿は、言葉という一見回り道と思えるような手段を通してこそリアルに伝わって来るものがあるのでは?という気にさせられた。2018/04/23

at@n

2
国土の脆弱さを書いているのだろうが、専門的なことはよくわからないけど見たまま感じたままにというのがどうも腑に落ちない。公務員のガイド役を引き連れて被災地を「みてある記」というのもあまり現代では受け入れられない感覚ではないかと思う。被災者に配慮して書いたということは本文中にもあり、青木玉の後書きでも言葉を尽くされているが。2022/06/23

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