耳納山交歓

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耳納山交歓

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  • サイズ B6判/ページ数 197p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784062051675
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

耳納山の麓に急造された別荘地キクラゲ村の住人と、隠れ里ヒラタケ村の人々との不思議な交歓の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

take0

19
三編を収録。「耳納山交歓」は再読だったが、実に村田さんらしさの溢れる不思議譚。「職安へ行った日」はあっけらかんとして飄々とした語り口に村田さんの持ち味が表れている感じ。「潜水夫」は家の床下の害虫駆除を依頼する話で、作業の合間に駆除業者の営業マンが言い寄ろうとしてきて、語り手がふっと理解不能な力に引き込まれそうになる一瞬にドキリとする。村田さんの作品ではあまり男女の深い情念は描かれない気がするが、時折の一場面が醸し出す艶かしさや生々しさに、絡み合うような男女の情交を描いた作品を読んでみたい気もする。2019/01/26

あ げ こ

8
隠れ里に住まう人々との交流は、微笑ましくもあやふやで、不可思議なものであるはずなのに、そこには、まるで美しくも綺麗でもない毎日に相応しい、馴染み深い存在感がある。例え交歓を彩る光景が幻想的であっても、浮かび上がるものは、紛れもない人間の姿。非常時に見せるたくましさ、人々を穏やかに見つめる瞳の落ち着き。やはり物語を牽引する女性が最も魅力的であると感じる。現実的な物事に対して腹立たしいほどに鈍感さを発揮する夫への、多分に呆れを含んだ諦めや、鋭い皮肉さえも、平然と笑いに変えてしまう、その茶目っ気が何とも心憎い。2014/07/03

紅独歩

2
キクラゲ村(田舎暮らしを求めて集まった人々)とヒラタケ村(止まった時間の中で生きているような人々)との不思議な、しかし心温まる交歓を描く。製氷機の氷を噛んで少女のように微笑む若い農婦の描写、いいなあ。しかし、ユートピアのような暮らしの中にも都会の狂気・田舎の愚習が描かれているのを見逃してはいけない。「茸類」と並ぶ傑作きのこ文学。2011/03/09

ちより

1
山間のふたつの村で起こる不思議な交流。その様子が実に自然で温かく、まさに“交歓”という言葉がふさわしい。山のさわやかな空気を感じたようで心が和む。同時収録の『職安へ行った日』『潜水夫』も日常を描いているようでどこか不思議な味わいの残る作品だった。2009/07/16

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