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講談社文芸文庫
この三つのもの

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  • サイズ 文庫判/ページ数 345p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061984936
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

主人公・赤木清吉は、友人・北村荘一郎にないがしろにされている夫人・お八重に同情するうちに、永遠の恋に陥ちてしまう―。かつてスキャンダラスな「細君譲渡事件」として世に知られた佐藤春夫と谷崎潤一郎および千代夫人との三角関係を題材に、自らの愛憎の葛藤を吐露した未完の表題作と、「一情景」「僕らの結婚」を収録。十年におよぶ愛の軌跡の全貌を辿る。作品は、愛を貫く文学者の誠実を示すものとなった。

著者等紹介

佐藤春夫[サトウハルオ]
1892・4・9~1964・5・6。詩人、小説家。和歌山県生まれ。慶大予科中退。中学時代から「明星」「スバル」に短歌を発表。新詩社時代、生涯の詩友・堀口大學と出会う。1917年、「西班牙犬の家」、19年、『田園の憂鬱』等で幻想・耽美的な作家として地位を確立。一方、『殉情詩集』(21年)は、抒情詩の典型として愛誦された。門弟3000人といわれるほどの文壇の重鎮だった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

6
★★★★☆(佐藤春夫の終生の仕事と心得、そして渾身の力をふるった未完の私小説。世に細君譲渡事件とも言われているが、この小説に収められている3作品を読むともっと深い理解が得られるような気がする。特に最後の「僕らの結婚」は関係者達の優しさに溢れている。佐藤と谷崎の友情と谷崎の何処か屈折した愛。6歳違う二人だが、その才能を認めた潤一郎の春夫に対する友情とそれに対する春夫の友情は深い。作中登場人物で大野笛人という詩人が気になったが、なるほど白秋のことだったのかと一人納得する。)2013/09/16

白檀薫る

1
いわゆる細君譲渡事件の顛末記ですが、1915年谷崎が千代と結婚するもすぐに不仲。痴人の愛のハルミのモデルとなった、千代の妹せい子を翌年引き取るなどのモラハラ夫ぶりに、佐藤春夫が同情することから始まります。 1921年に一旦谷崎が妻を譲ると約束したが撤回し、絶交状態になります。そんなこんなでやっと1930 年に三人で声明を出したのですから、10年以上の歳月が流れたわけです。とはいえ佐藤春夫も女性遍歴は華やかで如何なものですかね。これ以降千代と添い遂げるのですから良しというところですね。

ハチアカデミー

1
谷崎と春夫の間で実際におきたいわゆる「細君譲渡事件」を描いた小説作品であるのだが、道徳的には最低である。妻の感情は捨て置かれ男二人の相談で全てが決まる(実際はその後決定が谷崎側から一方的に覆されるのだが、作品はその前で未完のまま終わる)。男二人の正直な心情が語られているのだが、なんというか正直すぎるのだ。その正直さを、露悪的に描いた「小説」と読めるかどうかが評価の分かれ目か。事の詳細を丹念に、様々な人物の視点から構築する手法は試みとしては面白い。が、作家本人に悪意が感じられない分、「家畜」は酷い。2015/06/04

YY

0
こういう事件をきっちり描けるのが素晴らしい。未完だが、その気迫は十二分に伝わってくる。冷徹に現実を見つめ、作品化する手腕が見事にあらわれている。この事件の結末はこの文庫を読めばわかるっていうのも善し悪しあるが、納得のいく編集。しかし、解決しなかった方が面白かったような気がするが、まあそんなことをいったら失礼だし、「僕らの結婚」の素直な気持ちを読むこともできなかったからよしわるし。2014/08/10

saba

0
言わずとしれた、谷崎潤一郎と妻千代、佐藤春夫の細君譲渡事件を題材にした私小説。佐藤春夫にしたって女性関係は大概だが、お千代さんと一緒になってからは彼女と添い遂げた。結末を知っていなかったらもやもやしただろうな。

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