内容説明
心霊的なものに心惹かれて、都会の夜の神秘をよんだ二冊の詩集『悩める森林』『夜の一部』の出現により、1920年代詩に光芒を放つ異色の詩人多田不二。ドイツの詩人デーメルに共鳴し、「鬼怒川のほとりにて」「求愛」「女」等の恋愛詩を作り、芥川龍之介をして「夜の精霊の幻覚が生々しいほど迫ってくる」と言わしめた実存的な新神秘主義の唱導者の全貌を甦らせる詩篇とエッセイ。
目次
1 悩める森林(抄)(悪祷;春の伶人;異端者 ほか)
2 夜の一部(全)(化身・その他;都会・その他;蜥蜴・その他 ほか)
3 未刊行詩(一人の完全;冬の風;初夏の朝の詩 ほか)
4 随筆・評論選(文学修業;感情時代のおもいで;萩原氏と室生氏 ほか)