講談社文芸文庫<br> 街と村・生物祭・イカルス失墜

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講談社文芸文庫
街と村・生物祭・イカルス失墜

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  • サイズ 文庫判/ページ数 355p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784061962118
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

詩人として出発し、小説、評論、翻訳等、広汎な活動のうちに、常に時代を先駆し、唱導した著者の文壇的出世作『街と村』。“郷土小樽”という現実の場所と青春時代の過去と幻想を交錯させ、人間の意識の底に息づく根源的なものを描く、“自伝”的小説『街と村』(「幽鬼の街」「幽鬼の村」)へ発展する『生物祭』『イカルス失墜』『浪の響のなかで』等、青春のリリシズム溢れる初期代表作6篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りー

25
伊藤整!すごいぞ!彼は詩人でも翻訳家でも評論家でもあったスーパーひとし君なのだけれど、なるほど本書の作品もその能力を遺憾なく発揮した小説達で、詩的な抒情、日本文学らしからぬ奇想、精緻に造り込まれた構成と彩り豊かな楽しみ方が出来る傑作ばかりだ。惜しむらくはそれなりに有名であったはずの彼の著書がことごとく絶版であるということ。ぶっ飛んだ海外文学が翻訳され、それなりに売れている現代でこそその魅力を理解されるであろう彼の作品を、僕はもっともっと読みたい。2015/06/07

YO)))

11
巻頭,「街と村」,恐るべき小説であった.出だし,私小説かと思って読み進めると,いきなりの超展開に面食らい,そこから一気に,魔境と化した小樽の街に飲み込まれていく.そして,観念と幻想と物語と詩情とのあまりにも滑らかで見事な交錯に酔いしれる.暗鬱な基調のため確実に悪酔いではあるが…. 嗅覚にフォーカスして,過去への悔恨と,現在(或いは未来)の苦悩とがすべて,花の香りから発し,またそこへ収斂していくように描かれた「アカシアの匂について」も良い.2012/12/06

きつね

6
風邪で寝込んだ浅い眠りのきれぎれの覚醒のなかでてすさびに読んでいたら自分の悪夢と混ざり合って、他人のものとは思えなくなってしまった。『街と村』は小樽を舞台に、一度は捨てた郷里にふと立ち寄った主人公が記憶のなかを訪ね歩き、自意識を嘔吐しては反芻し、やがては彼の自意識ごとテキスト自体なんだかよくわからなくなっていく。カモメになっちゃうし。のっけから小林多喜二と空を飛んだり、芥川龍之介とカッパアカデミーの行進を監視したり、地獄とか瓜子姫とかもうわけがわからない。人に薦めたい本ではないが、こっそり再読したい。2013/05/26

AR読書記録

2
ブンガクにおける自意識過剰の問題っつうのはなー。読み手も同じような人たちのあいだで成り立っていた部分も大きいのかなーとかな。男が昔の女(妄想含む)のことでうじうじぐだぐだ考えてるあいだにも、現実の女は後ろ指さされながらでも自力で、あるいは周囲の圧力で否やを言わせぬうちに、社会のなかで生活していくことを余儀なくされてんだぜ。...というあたりがどうも気になってしょうがないので、ちょっとこの時代の女流文学とか、女性に共感のある作品とかがないか探したい。男目線と女目線がちょうどすりあわされるのはどのへんか。2014/11/24

じめる

1
すごい小説ばっかだ。世界の方がうねって、現実の人間の生活や人生を蠕動運動のように押し出していくようだった。町に生かされる人間の姿にも見えた。こういう生物感のある描写は怖い。2013/04/10

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