内容説明
単行本未収録作品を中心とした厳選の珠玉２７篇。３６歳にして初めて日本語で書いた『歴代名画記』評、時代の転換期に呈する「外国研究の意義と方法」「芻議一篇」。“体験”からその学問の方法を世界的と評する「本居宣長」。彼こそ中国独自の文学と敬愛する杜甫の「杜甫陵月夜詩釈」等学問・芸術の世界を自由自在に思索する著者のその思惟、姿勢、博識を顕示する作品を発表年代順に配列。
目次
小野勝年氏訳「歴代名画記」
是
西山一窟鬼（「亡者の世界」）
本居宣長―世界的日本人
李章武伝（「唐宋伝奇集」）
「唐宋伝奇集」解説
字音かな遣ひあらたまれりといふを聞きて
小島祐馬氏「古代支那研究」
国語の長所
外国研究の意義と方法
乙酉８月１５日３首―昭和２０年乙酉
杜少陵月夜詩釈
杜少陵９日詩釈
芻議一篇―西洋文学研究者への注文
狩野直喜博士弔辞代
知行非合一論
王昌齢詩
韓愈文
１つの中国
私の信条
杜甫 １５首
李白 ２９首
王維 １２首
韓愈 １首
中国の知識人
三国志実録抄
駿台荘雑詩４首
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
零水亭
2
2012年頃読んだ。 『新唐詩選』『唐代の詩と散文』など（戦中・）戦後中国文学研究の第一人者である吉川氏の有名どころの抜粋。 なお、著者は（悪名高き）学術会議のメンバーに選ばれてしまっている。この時期の中国文学研究者に共通しているが、中国共産党や毛沢東を神聖視するのはやめてもらいたい。文化大革命や著者没後の1989年の天安門事件で何人の中国人が犠牲になったか…。今、香港や尖閣諸島で何が起きているか…。自分の中では中国は1949年に滅亡した。 文学研究者が政治に口を出すべきではない。2020/11/26
