内容説明
喧噪の上野駅から銀座を抜けて麻布まで―。今はない街並をなつかしみながら、路地に秘められた人々の歴史をひもときながら画帖を片手に歩くたのしみを、スケッチとエスプリに富んだエッセイで構成する安野光雅の東京画36景。
目次
上野駅付近
江戸の長屋
アメ屋横丁
湯島の白梅
万世橋
ニコライ堂
須田町交差点
神田駅付近
今川橋
室町
三越前〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おとん707
6
画家安野光雅による東京のスケッチとエッセイだが、古今亭志ん生の落語「黄金餅」に沿って下谷から日本橋を経て麻布まで街道を辿ったとの事。1980年代のバブル目前の東京がスケッチされているが、残念ながらこの時代の東京の風景は安野光雅のスケッチをもってしてもお世辞にも魅力ある街に見えない。その後バブルがはじけて長期の景気低迷を経てある意味東京の街も落ち着いてきたので今同じ場所をスケッチしたらもう少し魅力的に映るかな?と思ってしまう。描かれた時代を反映しているのか、文章も当時の落ち着きのない東京を想わせる。2020/05/12
あおい
1
著作の旅の絵本を観た流れで読んでみた。元ネタである落語の上野→麻布までお江戸の街並みを想像しながら、安野氏による現場のスケッチ36景とエッセイ。下谷山崎町→木蓮寺まで道中地名を羅列する地語りで棺桶を運ぶ1晩の噺だが、これは連載で3年もかかっているそうな。上野→麻布の黄金街道~と聞いただけで通は”黄金餅”と出てくるほど東京ではメジャーだそうだが、つとに疎い私には元ネタの落語が冒頭にあって良かった~お終いにあったら読むの断念してたかもね~この噺死人のお宝を横取り起業して大成功するオチ、現在餅はお酉さまで買える2019/12/21
マサ
1
なんで始めに古今亭志ん生の落語が出てくるのかと思ったら、そういうわけだったのね。読後、もう一度「黄金餅」のそのくだりを読みなおしましたが、江戸の古地図を見ながら読むとまたもう一味違った面白さがあるのだろうなぁ。まあ、そんな下敷きがなくても独特の味わいの語り口と絵で十分面白いのだけれど。2015/11/20